March, 11, 2024, 東京--東京農工大学大学院の朝田晴美、鈴木健仁准教授(工学研究院、JST創発研究者)は、極薄赤外線吸収メタサーフェスを実現した。
厚さ100nmの誘電体膜を用い、表に金の正方形パッチ、裏に金の膜を設けている。厚さ100nmの誘電体膜の表と裏の両面に金属構造を作製する技術は、文部科学省「ナノテクノロジープラットフォーム事業」(現「マテリアル先端リサーチインフラ事業」)の支援(No. F-20-IT-0017)を受けて、東京工業大学微細加工プラットフォームにおいて生み出された両面同時電子ビーム露光法を用いている。両面同時電子ビーム露光法は、熱放射の制御に向けた赤外域のメタサーフェスの作製への応用や、6G(Beyond 5G)通信のさらに次世代の7G通信でのテラヘルツ波帯アンテナの作製への応用も進んでいる。
研究成果は、米国光学会Optics Letters( 3月5日付)に掲載された。
研究成果
研究成果では、赤外域の電磁波に対して動作する赤外線吸収メタサーフェスを、厚さ100nmの非常に薄い窒化シリコン(SiNx)膜を用いて実現した。赤外線吸収メタサーフェスの表面には、1,200nm角の正方形の金のパッチを周期的に配置したパターンを設けている。赤外線吸収メタサーフェスの裏面には、格子状のレジストの壁と金の膜が配置されている。今回実現したメタサーフェス吸収体は、両面同時電子ビーム露光法により実現した。作製した赤外線吸収メタサーフェスをフーリエ変換赤外分光法で測定したところ、50THz吸収率97.1%、反射率2.2%、透過率0.7%と、極めて薄い素材ながら高い赤外線吸収率を有することを確認した。
今後の展開
この研究で実現した極薄赤外線吸収メタサーフェスは、赤外線を用いたイメージング、物体の検出、距離測定などのアプリケーションでの利用が期待でき.。
この研究の両面同時電子ビーム露光法は、熱放射を制御するための赤外域のメタサーフェスの作製への応用や、6G(Beyond 5G)通信のさらに次世代の7G通信でのテラヘルツ波帯アンテナの作製への応用も進んでいる。
(詳細は、https://www.tuat.ac.jp)