全光通信ネットワークが宇宙、空、海をつなぎ、シームレスな接続を実現

March, 8, 2024, Washington--中国の研究者は、宇宙、空中、水中環境全体でシームレスな接続を可能にするオールライト通信ネットワークを開発した。新しいネットワーク設計では、様々なタイプの光源を組み合わせて、環境に関係なく接続性を確保する。

「今日の世界では、通信、ナビゲーション、緊急対応、研究、商業活動にデータ伝送が不可欠である。この新しいワイヤレスネットワークは、環境間の中断のない接続を可能にし、ネットワーク内およびネットワーク間で通信とデータ交換を行うネットワークノード間の双方向のリアルタイムデータ伝送を促進しする」と、中国の南京郵電大学と蘇州照明チップモノリシックオプトエレクトロニクステクノロジー株式会社の研究チームリーダー、Yongjin Wangは話している。

Optics Expressで、研究チームは完全に光ベースの通信ネットワークについて説明し、ネットワークノード間のリアルタイムビデオ通信を実証している。また、有線と無線の両方のデバイスアクセスを同時にサポートし、ネットワークノード間で双方向のデータ伝送を実行できることも示している。どちらの機能も、多様なサービスを一度に様々なユーザに提供するためのキーとなる。

「全光通信は、センサが生態学的データを収集し、地表ブイと通信する海や湖などで使用できる。その後、データは水面上または都市間の長距離伝送リンクを介してワイヤレスで送信できる。また、このネットワークはモデムを介してインターネット接続も可能である、たとえば、遠隔地の海にいる可能性のある人々に、情報共有のためのバックボーンネットワークへのアクセスを許可する」（Wang）。

統合ネットワークの構築
ワイヤレス光通信ネットワークは、多くの場合、特定のシナリオ向けに設計されており、他の通信システムとの相互運用性に欠けている。宇宙・大気・海洋の相互接続を実現するには、複数の技術を結集してシームレスな通信ネットワークを構築するという困難な作業が必要になる。これを達成するために、研究チームは4つの光のスペクトルを使用して、4つの異なる環境またはアプリケーションのためのワイヤレス光通信リンクを確立した。

海水は青緑色光の吸収窓が小さく、他の波長に比べて水中を遠くまで伝わるため、水中通信に青色光を使用した。これにより、無人潜水機の制御や、水中装置とブイ間の通信の確立に利用することができる。白色LEDは、ブイや船など、水面上にある物体間で情報を伝達するために使用される。

ドローンなどの空中機器との接続には、DUVが使用される。これにより、太陽光による干渉を防ぐソーラーブラインド通信が可能になる。最後に、自由空間でのP2P通信には、高光出力で指向性光を放出する近赤外レーザダイオードが適用された。また、研究チームは、TCP/IP方式に基づいてインターネットへの無線または有線アクセスを可能にする方法でネットワークを設計し、モノのインターネット（IoT）アプリケーションに使えるようにした。

光源の接続
「青色光、白色光、深紫外線波長、レーザダイオードとの通信から統一された伝送モードを確立し、Ethernetスイッチを使用してそれらを統合できるようにすることが重要だった。これを可能にするために、LEDと変調方式がネットワークスループットを決定し、アバランシェフォトダイオード（APD）が伝送範囲を制限し、光バンドパスフィルタが目的の光信号を他のスペクトルの光信号から分離する」（Wang）。

チームは、全光通信ネットワークが全二重のリアルタイムビデオ通信と、有線および無線アクセスを介したセンサデータ、画像、オーディオファイルの伝送を実現できることを示した。全二重ビデオとは、ビデオの送受信を同時に行うことができることを意味し、ビデオ会議などのアプリケーションに必要である。2560 × 1440 および 1920 × 1080 ピクセルのリアルタイム ビデオを 22 fpsでネットワークに供給すると、ほとんど遅延なくクリアなままだった。ネットワークパケット分析ツールを使用して、最大パケット損失率5.80%、および74ms未満の伝送遅延を測定した。

現在、研究チームは、波長分割多重（WDM）を使用してLEDによって引き起こされるボトルネックを解消することにより、全光通信ネットワークのスループット向上を目指している。これにより、ネットワークの全体的な効率とパフォーマンスが向上する。また、固定ノードだけでなく、モバイルノードの使用にも取り組んでおり、光アライメントという課題に取り組む必要がある。これは、水中機器やドローンで使用する場合に特に重要になる。