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フォトニックチップ用レーザプリンタ

March, 6, 2024--フォトニック集積回路(PICs)は、重要な次世代技術である。これらの高度なマイクロチップは、自動車技術、通信、ヘルスケア、データストレージ、人工知能のコンピューティングなど、幅広いアプリケーション分野において、電子機器のコストを大幅に削減し、速度と効率を向上させる可能性を秘めている。
フォトニック回路は、従来の電子回路が電子を使用するのとほぼ同じ方法で、光の基本粒子である光子を使用して情報を移動、保存、およびアクセスする。フォトニックチップは、現在すでに高度な光ファイバ通信システムで使用されており、自律走行車向けのLiDAR(Light Detection and Ranging)など、近未来の幅広い技術に実装するために開発されている。医療機器用の光ベースのセンサ。5Gおよび6G通信ネットワーク。光コンピューティングや量子コンピューティングなど。

フォトニック集積回路の既存および将来の用途が多岐にわたることを考えると、研究、および産業用途向けのチップ設計を製造できる機器へのアクセスも重要である。とは言え、今日のナノファブリケーション施設の建設には数百万ドルの費用がかかり、多くの大学、研究所の手の届かないところにある。ナノファブリケーション施設にアクセスできる人は、これらのマイクロチップを製造するために使用される厳密で時間のかかるリソグラフィープロセスのために少なくとも1日を確保する必要がある。その上、設計に誤りがあったり、何らかの理由でチップが正常に動作しない場合は、故障した回路を廃棄し、設計を調整し、新しいチップを製造する必要がある。その結果、クリーンルームで数日から数週間を費やすことになる。

しかし今回、Science Advances誌に掲載された新しい論文で示されているように、UWのECE主導の研究チームは、高価なナノファブリケーション施設を迂回して、ほぼどこでもフォトニック集積回路を製造する方法を考案した。研究チームは、これらの回路をレーザライターで書き込み、消去、修正し、記録可能なCDやDVDに使われるものと同様の相変化材料の薄膜にすることができる革新的な方法を開発した。この新しいプロセスにより、フォトニック集積回路の構築と再構成を、ナノファブリケーションラボで行う時間のほんの一部で行うことができる。

「われわれの手法を使えば、以前は高価で利用しにくい施設で製造しなければならなかったフォトニック回路を、今では研究室、教室、さらにはガレージの作業場でプリントして再構成することができる…」とUW ECE および物理学教授 Mo Liは話している。

複数の大学からなるチームは、UW ECEと、同学部の研究担当副委員長であり、ナノ工学システム研究所のメンバーであり、論文の主任著者である物理学教授Mo Liがリーダーとなっている。

「フォトニクス技術は兆しが見えている。したがって、この分野で学生を訓練、教育する必要がある。しかし、学生がフォトニック回路を研究し、実践的な経験を積むためには、現在、数百万ドルの施設にアクセスする必要がある。この新しい技術は、その問題を解決する。われわれの手法を用いることで、これまで高価でアクセスしにくい施設で製造しなければならなかったフォトニック回路を、従来のデスクトップレーザプリンタとほぼ同サイズの高速かつ低コストの装置で、ラボ、教室、さらにはガレージの作業場でプリントし、再構成することができる」とLiは説明している。

学生、研究者、産業界にとってのメリット
PICsを作製するこの新しい方法の恩恵を受けるのは学生だけではない。研究者にとっては、この進歩により、ナノファブリケーション施設で貴重な時間を確保できるようになる前に、新しいアイデアのプロトタイピングとテストの所要時間が大幅に短縮される。また、産業用アプリケーションの場合、PIC製造のこの方法の大きな利点は、再構成可能であること。たとえば、企業はこの技術を使用して、データセンタ、特に人工知能と機械学習をサポートするシステムで再構成可能な光接続を作成し、コスト削減と生産効率につながる可能性がある。

性能向上、商用デバイスの構築
チームが開発した手法は効果があることが証明されているが、まだ初期段階のコンセプトである。とは言え、Liは仮特許を申請しており、フォトニック集積回路用の卓上型レーザライターを構築する計画が進行中である。このプリンタは手頃な価格で販売され、世界中の研究所や教育機関に広く配布される可能性がある。また、業界のリーダーたちと協力して、プログラマブルフォトニックチップや再構成可能な光ネットワークにおけるこの新技術の応用の可能性を推進している。

このフォトニックチップ用レーザプリンタは、従来のデスクトッププリンタよりもはるかに正確な方法で基板を移動するステージングシステムを使用する。チームは、プロトタイプ作成の際にパフォーマンスを最適化する方法を模索している。また、材料科学やレーザ描画技術の研究を進めることで、使用している相変化材料の光学損失の低減にも取り組んでいく。これにより、現在よりもさらに詳細で高度な回路を生成できるようになる。

「この技術は、所望のフォトニック回路を作ることができるが、既存の電子回路に追加することも可能である。また、再構成可能で再利用可能なため、学生、研究者、産業界に多くの可能性が開かれる」とLiは話している。
(詳細は、https://www.ece.uw.edu