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高出力と狭い固有スペクトル線幅を有するフォトニック結晶レーザの実現

March, 6, 2024, 京都--京都大学電子工学専攻の野田進 教授、森田遼平 同特定研究員、井上卓也 同助教、吉田昌宏 同助教、三菱電機株式会社の榎健太郎研究員らのグループは、フォトニック結晶レーザ(PCSEL)において、これまでの半導体レーザ素子単体では実現が困難であった高い出力と狭い固有スペクトル線幅の両立を実現した。

スペクトル線幅とは、出力されるレーザ光の周波数(波長)の揺らぎを示す指標。このスペクトル線幅が狭いほど、レーザ光の「純度」が高くなり、可干渉性(コヒーレンス)が増大し、光の周波数や位相などの光の波としての性質が利用しやすくなる。
今回、研究グループは、直径1mmのPCSELで、5Wという高出力と1kHzという極めて狭い固有スペクトル線幅の両立を世界で初めて実現した。この成果は、高出力・狭線幅なレーザ光源を必要とする、自由空間光通信(特に宇宙空間における衛星間通信)や人工衛星からの地表表面の観測(衛星搭載ライダー)などの宇宙応用、さらには、レーザ照射による原子冷却等、様々な分野の発展にPCSELが貢献可能であることを示している。

研究成果は、2024年2月26日(現地時間)に、米国科学誌Opticaのオンライン版に掲載された。

(詳細は、https://www.t.kyoto-u.ac.jp