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量子ドットの新しい協同効果を発見し非線形光電流増幅

February, 7, 2024, 京都--京都大学田原弘量白眉センター/化学研究所特定准教授、金光義彦 化学研究所教授、坂本雅典 同准教授、寺西利治 同教授の研究グループは、半導体量子ドットを集めて結合させることで現れる新しい協同効果を発見し、その効果を利用して非線形光電流を増大させることに世界で初めて成功した。

半導体量子ドットはナノメートルサイズの微小な結晶であり、2023年のノーベル化学賞の受賞対象となった材料。量子ドットの中に電子を閉じ込めることで、量子力学的な効果によって光の吸収や発光の波長を変えることができる。そのため、広い波長範囲の光を吸収して電気を取り出す太陽電池や、好きな色に光らせる発光ダイオードなどの光電デバイスの材料として注目されている。

研究グループは、たくさんの量子ドットを集めた集合体がどのような物性機能を持つのかを明らかにするために、量子ドット同士を有機分子で結合させた量子ドット膜を作製し、光照射によって量子ドットに作られた電子を電流として取り出す実験を行った。有機分子の長さを変えながら量子ドット同士の距離を近づけていったところ、量子ドット膜から取り出される非線形光電流が非常に大きくなることを発見した。レーザパルス光を使った電子の量子干渉計測を行うことで、集団の量子ドットの中に入った電子が互いに協同的に振る舞うことでこの増大現象が生じることを明らかにした。非線形な光電流が増大することは、照射した光のエネルギーが物質の中で高いエネルギーに変換されて電流として取り出せることを意味しており、低いエネルギーの光を有効利用した光センサや太陽電池などの新しい技術につながると期待される。

研究成果は、2024年1月31日に、国際学術誌「Nature Nanotechnology」にオンライン掲載された。
(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp)