January, 9, 2024, Munich--固体中のパラメトリック光学プロセスは、光学的感受性やバンド構造などの結晶の特性に関する重要な情報を明らかにし、非線形周波数変換に大きな影響を与える。Nature Communications誌に掲載された論文「六方晶窒化ホウ素のフォノン増強非線形性」は、六方晶窒化ホウ素(hBN)内の強いフォノン共鳴によって誘導・増幅される光学的非線形性に光を当てている。
この研究は、非線形光学実験とTDDFT計算の両方から構成され、結晶の振る舞いと非線形周波数変換プロセスへの影響を理解するための新しいフロンティアを提示している。
この研究は、hBN内の光フォノン共鳴間の相互作用に着目し、第一に、共鳴励起中の4光波混合による注目に値するサブピコ秒持続時間信号を予測・観測し、結晶運動の時間分解観測を可能にした。第2に、研究チームは、hBNの横方向光フォノンの共鳴光ポンピング下で、第3高調波発生の>30倍増強されることを観察し、高調波効率が大幅に向上する可能性を示した。理論計算は実験と一致している。これらの発見は、光学材料や非線形光学に依存するさまざまな分野での技術的進歩の大きな可能性を秘めており、フォトニクスや量子コンピューティングなどの革新的なアプリケーションへの新しい道が約束している。
論文の共同筆頭著者Jared Ginsbergは、これを2次元材料の非線形光学における重要なマイルストーンと見なしている。
「ワンデルワースタイプ材料における非線形フォノにクス探求では、hBNは始まりに過ぎない。これらの結果は、2次元材料における2次を超える高調波効果の継続的な探求を真に動機付けるために必要な証拠を提供すると考えている。今後数年間で、この分野が新しい材料やより長い波長に拡大し続けることを期待している」
コロンビア大学の大学院生、共同筆頭著者としてこの研究の実験面にも貢献したCecilia Chenは、光励起と材料の振動モードの間のコヒーレントな強結合の分野における将来の発展に期待を寄せている。「われわれの成果は、その物理的構造に由来する結晶の多くの基本的特性が光学的に調整、つまり変調できるというコンセプトを支持するものである」と同氏は説明している。
研究の責任著者の1人、共同筆頭著者Jin Zhangは、この発見をエキサイティングな一歩前進と捉えている:「観察されたフォノン誘起非線形増強は、共鳴光励起下での結晶挙動のわれわれの理解におけるパラダイムシフトを表している。この実験は、TDDFTシミュレーションと非常によく一致している。これにより、これらの効果を光学技術の新しいアプリケーションに活用するための扉が開かれる」。
この画期的な研究は、材料特性の基礎的な理解を深めるだけでなく、非線形光学の領域やその先での革新的な応用への道を開くものである。