January, 9, 2024, 和光--理化学研究所(理研)他の共同研究グループは、規格化されていない実験環境を認識してロボットアームの動作を自動的に生成し、自律実験を遂行するAIシステムを開発した。
研究成果は、人とロボットが一緒に作業する新しい実験室の実現に向けた基盤技術となり、生命科学研究の発展に貢献することが期待される。
近年、実験科学における人間の手技や処理能力の制約を克服する試みとして、ロボットやAIの活用が進んでいる。しかし、実験室を「ロボットに合わせる」必要があったり、個体ごとに形状が異なる生物試料を正確に認識する技術上の課題があったりするなど、普及に向けて解決すべき点が残されている。
今回共同研究グループは、手先にカメラとピペットを取り付けたロボットアームと、コンピュータ上で再現した実験環境の3次元モデルとを組み合わせることで、適切な実験操作を自律的に生成することができる生成系AIを開発した。このシステムの活用により、植物の形状を個体ごとに識別し、個別の葉に溶液を添加するなどきめ細やかな実験が自動化できることを実証した。
研究成果は、科学雑誌『IEEE TRANSACTIONS ON AUTOMATION SCIENCE AND ENGINEERING』オンライン版(11月27日付)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)
研究グループ
理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター バイオコンピューティング研究チームの張 竣博 研修生(大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻 博士後期課程1年)、万 偉偉 客員研究員(同准教授)、田中 信行 上級研究員、高橋 恒一 チームリーダー、環境資源科学研究センター 質量分析・顕微鏡解析ユニットの藤田 美紀 上級技師、大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻の原田 研介 教授ら