December, 14, 2023, 東京--KDDIとKDDI総合研究所は、次世代暗号である完全準同型暗号を使い、暗号化されたデータをそのまま高速に分析する手法の開発に成功した。
完全準同型暗号は、データを暗号化したまま分析できるため安全性が非常に高いことが特徴で、医療データなどの機密性の高いデータを暗号化したまま様々な操作ができることが期待されている。両社は、完全準同型暗号の2030年代半ばでの実用化を目指して、プライバシーを守りながら企業間のデータ利活用を推進し、顧客に新たな価値を提供できるサービスの実現に向けた取り組みを進めていく。
完全準同型暗号では、暗号化を行う際に安全性を確保するため乱数をノイズとして加えるが、暗号化したデータを使って演算を行うと、各データのノイズが累積し処理できなくなる。そのため、ブートストラップ処理が必要になるが、従来の完全準同型暗号では、ブートストラップ処理に要する計算量が大きく、演算時間がかかることが課題だった。今回、両社で開発した新たな手法では、ブートストラップ処理を1.6倍高速化することに成功した。また、完全準同型暗号の基本演算処理の高速化にも取り組んでおり、標準的な手法と比較し、加算において100倍、乗算において60倍の高速化を達成している。
今回の成果は情報セキュリティ分野の最難関国際学会Asiacrypt 2023に採択(論文採録率26.9%、Asiacrypt 2022実績)され、2023年12月4日から12月8日に開催される同学会で発表した。
(詳細は、https://www.kddi-research.jp)