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超ハイパワーレーザパルス圧縮の新方法

December, 4, 2023, Glasgow--国際的な研究者チームは、レーザパルスを超高出力に圧縮する新しい方法を発表し、レーザ技術に大きなブレークスルーをもたらした。
UNIST物理学科Min Sup Hur教授、GISTのHyong Suk教授、ストラスクライド大学(University of Strathclyde)のDino A. Jaroszynski教授が率いるこの画期的な研究は、不均質なプラズマの空間的に変化する分散に基づく新しいアプローチを提示している。

従来、レーザパルス圧縮は、ソリッドステートグレーティングまたはチャープミラーに依存してきた。しかし、この革新的な技術は、高密度のプラズマスラブの密度ランプを利用して、パルス圧縮を実現する。プラズマの密度が縦方向に増加すると、レーザパルス内の異なる光子周波数がプラズマ領域をさまざまな深さまで貫通する。この選択的な浸透により、チャープミラーのメカニズムに似たパルス圧縮が行われる。

研究チームは、セル内粒子(PIC)シミュレーションコードを用いて原理実証シミュレーションを行い、2.35psのレーザパルスを10.3fsという驚異的な時間幅に圧縮することを実証した。この225の圧縮比は、プラズマが従来のソリッドステートグレーティングと比較してより堅牢で高強度での損傷に強いため、エクサワット(exawatt)またはゼタワット(zettawatt)のピーク電力に到達するための新しい可能性を開く。

「この研究は、これまでのレーザ圧縮技術の限界を克服する方法を提示し、産業およびエネルギー研究、半導体リソグラフィ、レーザ核融合、最先端の天体物理学など、さまざまな分野に広範囲にわたる影響を及ぼす」とUNISTのMin Sup Hur教授は強調している。

2018年にノーベル物理学賞を受賞したチャープドパルス増幅法(CPA)は、レーザ技術に革命をもたらし、その用途を複数の領域に拡大した。しかし、科学界は、さらに高いレーザ強度を達成する方法を熱心に模索してきた。新たに提案された不均質プラズマ利用のアプローチは、この需要を満たすための重要な一歩となる。

プラズマは、高温で電子とイオンに分離された気体状態であり、従来の回折ミラーに比べて独自の利点がある。ミラーとは異なり、プラズマは損傷を受けにくいため、レーザパルス圧縮のための最適材料である。この性質を利用して、プラズマを利用してエクサワットレベルを超える強度のレーザを発生させることを想定している。

「プラズマは、従来の回折ミラーの非常に効果的な代替品として機能し、既存CPA技術の限界を補うことができる。わずか数㎝のプラズマで、エクサワットの閾値を超える超高出力レーザを実現できる」とGISTのHyong Suk教授は説明している。

このブレークスルーがもたらす影響は、レーザ技術にとどまらない。超高出力レーザは、ストラスクライド大学のDino A. Jaroszynski教授が強調したように、空間、物質、時空の特性に関連する根本的な問題を調査するための重要なツールとして登場した。

この画期的な研究は、超高出力レーザの新時代への道を開き、科学探査、エネルギー研究、産業応用に前例のない可能性を提供する。このチームの発見は、理論物理学と天体物理学の進歩を加速させると同時に、人類が直面している差し迫ったエネルギー問題に取り組むための基盤となることが期待されている。

研究成果は、Nature Photonics誌のオンライン版に掲載された。
(詳細は、https://news.unist.ac.kr)