November, 25, 2014, Salt Lake City--ユタ大学(University of Utah)の研究チームは、光をより多く通す偏向フィルタを開発した。これは、一回の充電でこれまでよりも遙かに長く動作するモバイルデバイスディスプレイ、かすかな明かりでも撮ることができるカメラの実現につながる。
偏光子(ボラライザ)はデジタル写真やLCDディスプレイでは不可欠であるが、これによって阻止される光の量が多いため、エネルギーの損失となり、微光での撮影を難しくする。
ユタ大学電気・コンピュータ工学研究チームは、集束ガリウムイオンビームを使ってシリコンウエハにナノスケールのピラーとホールをエッチングすることでそのフィルタを作製した。Rajesh Menon准教授によると、この新しい光フィルタリングコンセプトは標準的なボラライザと機能は同じであるが、透過させる光は約30%多い。
ボラライザは、水平のエネルギーか垂直のエネルギーかのどちらか一方しか透過させないために、透過光は半分になる。半分は反射または吸収されるので、残りの画像は暗くなる。ボラライザは、例えば写真家が画像のギラつきを減らすために広く使用されている。また、LCDディスプレイでも透過光を調整してスクリーンに画像を映すために使用されている。
Menon氏によると、ほとんどのボラライザは60~70%の光を阻止する。しかし新しいボラライザは、通常は反射される光の多くを所望の偏光状態に変更する。研究チームは、約74%の光を通すことができるボラライザを開発したが、最終目標は全ての光を透過させることだと言う。
スマートフォンやタブレットなどのLCDディスプレイは2つのボラライザを持っており、LCDを使うとほとんどの光が捨てられることになる。「エネルギー効率を改善することができれば、ディスプレイのバッテリ寿命は大幅に伸びる。あるいは、ディスプレイをもっと明るくすることができる」(Menon氏)。
研究チームは、20×20µmのボラライザを使ってこのコンセプトを評価し、赤外光だけでテストした。しかし研究チームは、フィルタサイズを大きくし、それを可視光で使用し、より経済的に製造できるようにする方法を考案することを計画している。Menon氏によると、この技術の最初に市場投入できるアプリケーションは、5~10年で可能になる。また、この技術は顕微鏡や望遠鏡にも利益をもたらす。