November, 7, 2023, Gaithersbug--レーザベースのシステムは、極超音速推進やタンパク質の折り畳みなどの高速プロセスの瞬間瞬間の詳細をキャプチャする能力を備えている。
温室効果ガス濃度のモニタリングから呼気のCOVID検出まで、周波数コムと呼ばれるレーザシステムは、二酸化炭素のような単純なものからモノクローナル抗体のような複雑なものまで、特定の分子を前例のない精度と感度で識別することができる。しかし、驚くべきことに、周波数コムは、極超音速推進やタンパク質の最終的3D形状への折り畳みなど高速プロセスを捕捉できる方法に制限があった。
今回、米国国立標準技術研究所(NIST)、Toptica Photonics AG、コロラド大学ボルダー校(University of Colorado Boulder)の研究グループは、20nsごとにサンプル中の特定分子の存在を検出できる周波数コムシステムを開発した。
この新機能により、研究者は周波数コムを使用して、極超音速ジェットエンジンの動作から細胞増殖を調節する酵素間の化学反応に至るまで、動きの速いプロセスにおける一瞬の中間ステップをよりよく理解できる可能性がある。研究成果は、Nature Photonics誌に掲載された
実験では、研究グループは、今では一般的なデュアル周波コムセットアップを使用した。これは、分子が吸収する色のスペクトルを検出するために連携する2つのレーザビームを含んでいる。ほとんどのデュアル周波数コムセットアップには、2つのフェムト秒レーザが含まれ、ロックステップで2つの超高速パルスを送出する。
この新しい実験では、研究グループは「電気光学コム」と呼ばれる、より単純で安価な装置を使用した。ここでは、単一の連続光ビームが最初に2つの光線に分割される。次に、電子変調器が電界を生成して各光線を変化させ、周波数コムの個々の「歯」に成形する。各歯は特定の色または光周波数であり、目的の分子に吸収される。
従来の周波数コムには数千あるいは、数百万の歯(teeth)があるが、研究チームの電気光学コムは、典型的な実験で14しかなかった。しかし、その結果、各歯の光パワーは、はるかに高く、周波数が他の歯と大きく離れており、チームは20nsの時間スケールで光の吸収の変化を検出することができる明確で強力な信号が得られた。
デモンストレーションでは、研究チームはこの装置を使用して空気で満たされたチャンバー内の小さなノズルから出てくるCO2の超音速パルスを測定した。チームは、空気中の二酸化炭素の割合、CO2混合比を測定した。CO2濃度変化から、研究チームは、パルスの動きについて知ることができた。チームは、CO2がどのように空気と相互作用し、その後に空気圧の振動を生み出すかを見た。このような詳細は、最も高度なコンピュータシミュレーションを使用しても正確に取得することは難しい。
「航空機エンジンのようなさらに複雑なシステムでは、このアプローチを使用して、水や燃料、CO2など、特定の対象種を調べ、化学を観察できる。また、このアプローチを使用して、信号の変化を調べることで、圧力、温度、速度などの測定もできる」と、NISTの研究化学者、David Long氏は話している。
これらの実験から得られた情報により、内燃機関の設計改善、グリーンハウスガスが大気とどのように相互作用するかについての理解向上につながる洞察が得られる。
光パラメトリック発振器と呼ばれる特殊なコンポーネントを使用して、コムティースを近赤外色からCO2により吸収された中赤外色にシフトさせた。しかし、光パラメトリック発振器は、中赤外の他の地域に調整することもできるため、コムはそれらの領域で光を吸収する他の分子を検出できる。
この論文には、他の研究者がラボで同様のシステムを構築するために使用できる情報が含まれており、この新しい手法は多くの研究分野や業界で広く利用されている。