October, 24, 2023, 東京--東京工業大学、静岡大学、九州大学の研究グループは、加速電子と、電子線励起発光(カソードルミネセンス)による光子の時間相関により、電子一つ一つを励起パルスとして利用することで、ナノスケールでの物質の発光寿命[用語2]計測に成功した。
今回新たに開発した電子−光子相関電子顕微鏡法により、光の回折限界をはるかに上回る電子線分解能での発光ダイナミクス観察だけでなく、加速電子と放出光子の量子もつれの効果を抽出できる相関パラメタの評価も可能になった。この手法は、標準的な電子源から放出された電子一つ一つをパルスとして利用するため、大掛かりな電子線パルス装置が必要なく、通常の電子顕微鏡の電子線源をそのまま利用できる。この成果は、発光ダイナミクスの観察や、異粒子間のもつれを利用した量子技術などへの応用が期待される。
研究成果は2023年9月20日発行のSpringer Nature社 「Communications Physics」に掲載された。
要点
・積極的なパルス励起を必要としないナノスケール発光寿命計測電子顕微鏡を実現。
・個々の電子をパルスとして利用し、加速電子と電子線励起発光光子の時間相関を計測。
・発光ダイナミクスの観察や、異粒子間のもつれを利用した量子技術への応用を期待。
研究グループ
東京工業大学 物質理工学院 材料系の柳本宗達大学院生(博士後期課程)、山本直紀研究員、三宮工准教授、静岡大学 理学部の弓削達郎准教授、九州大学 先導物質化学研究所の斉藤光准教授、量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所の秋葉圭一郎主幹研究員らの
(詳細は、https://www.titech.ac.jp)