October, 18, 2023, Helmholtz--新しい方法を利用し、レーザ光のビームを空気のみを使用して偏向させることができる。
Nature Photonicsの論文で、空気のみで作られた目に見えないグレーティングは、レーザ光による損傷の影響を受けないだけでなく、ビームの元の品質も維持する、と学際的な研究チームが報告している。研究チームは、その方法の特許を申請した。
その革新的な技術は、レーザビームが通過している領域の空気を変調するために音波を使用する。「われわれは音響密度波の助けを借りて光学グレーティングを生み出した」と、DESYとヘルムホルツ研究所イェーナ(Helmholtz Institute Jena)の博士課程学生、論文の筆頭著者Yannick Schrödelは説明している。
特別なラウドスピーカーの助けを借りて、チームは空気中の密集した領域と密度の低い領域のパターンを形成し、縞模様のグレーティングを形成。空気密度の違いが地球の大気中の光を曲げるのと同じように、密度パターンはレーザ光ビームの方向を変える光学グレーティングの役割を果たす。「しかし、回折格子によって光を偏向させることで、地球の大気中の偏向と比較して、レーザ光をはるかに正確に制御することができる。光学グレーティングの特性は、音波の周波数と強度、つまり音量に影響される」(Schrödel)。
最初のラボ試験では、強力な赤外線レーザパルスをこのようにして50%の効率で出力先を変える(redirect)ことができた。数値モデルによると、将来的には大幅に高い効率が可能になるはずである。最初のテストでは、研究チームは特別なスピーカーの音量を上げる必要があった。「われわれは約140デシベルの騒音レベルで移動しており、これは数メートル離れたジェットエンジンに相当する。幸いなことに、われわれは超音波範囲にいるが、耳はそれを拾わない」と、DESYと研究プロジェクトを主導しているHelmholtz Institute Jenaの研究者、Christoph Heylは説明している。
チームは、高性能光学系の技術に大きな可能性を見出している。研究チームの実験では、チームは、約20億個のLED電球の電力に相当するピークパワー20 GWの赤外線レーザパルスを使用した。このクラス、またさらに高出力クラスのレーザは、例えば、材料加工、核融合研究、または最新の粒子加速器に使用される。「この出力範囲では、ミラー、レンズ、プリズムの材料特性によって使用が大幅に制限され、そのような光学素子は実際には強力なレーザビームによって簡単に損傷を受ける。さらに、レーザビームの品質が低下する。対照的に、われわれは非接触で品質を維持する方法でレーザビームを偏向させることができた」(Heyl)。
ガス中のレーザ光の音響制御原理は、光学グレーティングの生成に限定されない、と科学者は強調している。おそらく、レンズや導波路などの他の光学素子にも転送できる。「われわれは長い間この方法について考えてきたが、極端な騒音レベルが必要であることにすぐに気づいた。当初、これらは技術的に実現不可能に思えた。しかし、われわれは諦めず、Technische Universität Darmstadtの研究者とInoson社の支援を受けて最終的に解決策を見つけた。まずは普通の空気でわれわれの技術を試した。次に、たとえば、他の波長や他の光学特性や形状を利用するために、他のガスも使用する」(Heyl)。
すでに実証されている周囲空気への光の直接的偏向は、特に高出力レーザの高速スイッチとして有望なアプリケーションを開く。
「光の非接触制御と他のアプリケーションへの拡張可能性は、現時点では推測しかできない。現代の光学は、ほぼ例外なく光と固体物質の相互作用に基づいている。われわれのアプローチは、まったく新しい方向性を切り開く」とHeylは説明している。
(詳細は、https://www.hi-jena.de/)