September, 15, 2023, Washington--ドイツの物理学者は、金属表面からの光誘起電子放出をアト秒精度で初めて制御し測定した(Nature、doi:10.1038 / s41586-023-05839-6)。
チームは、レーザベースの技術が光電効果を支える量子力学的プロセスへの新しい洞察を提供すると同時に、光によって制御される新世代の超高速電子回路の開発も支援すると考えている。
2つのパルスの重畳
研究者は近年、レーザ光の強力なパルスを使用してガス中の電子ダイナミクスをアト秒精度で捉えることができることを示したが、これらの技術は金属やその他の固体材料への適用はできない。最新の研究で展開された策略では、強度と周波数の異なる2つのレーザパルスを重ね合わせた:強いレーザパルスは金属先端からの電子の放出を刺激し、2倍の周波数の弱いレーザパルスは電子放出の確率と放出された電子のエネルギーの両方を変更する。
実験では、2色のレーザ場を金属針の頂点にしっかりと集束させた。研究者らは、2つのパルス間の位相差が変化したときに先端から放出された電子のエネルギースペクトルを記録し、そこから30アト秒の精度で電子放出の強度と持続時間を決定することができた。
金属表面からの電子放出
2色変調分光法と呼ばれるこの手法の結果により、金属表面からの電子放出のタイミングと、その後のレーザ場での電子の動きに関する新しい洞察が得られる。「これにより、ソリッドステート体からの放出と使用される光場の両方に関する新しい量子力学的洞察が可能になる」と筆頭著者のPhilip Dienstbierはコメントしている。
チームの分析は、ほとんどの電子が710アト秒の時間ウィンドウにわたって放出されることを示しており、光制御された電子回路がペタヘルツ領域で動作する可能性があることを示唆している。2つのパルス間の位相差を変調することで、光発光をアクティブに制御することもでき、これらの新しい光波デバイスで一連の電気パルスを定義する方法が得られる。
「近い将来、われわれのテストセットアップのコンポーネント(光源、金属チップ、電子ディテクタ)をマイクロチップに統合することが可能になる」(Dienstbier)。他のアプリケーションに含まれるのは、ナノプラズモニクス。ここでは、この方法が超高速電子放出と近接場ダイナミクスの高感度プローブを提供する。また、時間分解顕微鏡などの技術で作用する基本的な量子力学的プロセスの理解も含まれる。