November, 12, 2014, Washington--オランダとフランスの産学協同チームが開発した新しいハンドヘルドプローブは、医師にとって強力なイメージング機能を発揮する。
このイメージングシステムは、実験室のベンチトップ技術をPCスクリーンと小さなホッチキスサイズのプローブに縮小した。
新しいデバイスは2つのイメージング法、超音波と光音響学を備えている。超音波は十分に確立された技術で、内臓からの音波パルスの反響の仕方を解析する。解剖構造を明らかにする点で優れており、なじみのある例では、子宮内の発育中の胎児を画像化するために使用される。
光音響学は比較的新しいイメージング技術で、臨床用途ではまだ普及していない。光音響学イメージングでは、光の短パルスが体内組織を加熱する。わずかな温度変化が圧力の変化となり、超音波を生成する。超音波を解析することで身体内部の仕組みについての情報が明らかになる。この技術も最終的には超音波を生成するので、既存技術を使って解析し画像を表示することができる。
光音響学のメリットは、他のイメージング技術ではできない、重要な医療情報を明らかにできること、例えばヘモグロビンやメラニンのような分子の存在、皮下数センチメートルの血管網のサブミリメートル構造など。分光計測と組み合わせると、光音響学は個別血管内のヘモグロビン酸素飽和度を定量化、例えば腫瘍の進行モニタリングに役立つ代謝情報を提供する。
こうした利点があるにもかかわらず、ほとんどの光音響学システムのコストとサイズが制限要因になって、このようなシステムが広く普及するに至っていない。市場のほとんどのシステムが、高価でサイズの大きなレーザを使用しており、PoC診断には非実用的なシステムとなっている。
オランダのTwente大学とヨーロッパの企業3社、医療診断システムメーカーESAOTE Europe、固体レーザメーカーQuantel、光コンポーネントメーカーSILIOS Technologiesの提携でプロジェクトがスタートした。
システムを飛躍的に縮小するための重要イノベーションは、効率のよい安価なレーザダイオードをベースにした超コンパクトレーザの設計だった。複数のダイオードをスタックして出力を高め、光素子の設計によってレーザビームを成形することで、ダイオード技術でこれまでに実現されたことのない高エネルギーのレーザパルスを作り出すことができた。
ダイオードレーザはパルス間隔を短くすることができるので、リアルタイムイメージングが可能になる。
新しいコンパクトなプローブとイメージングシステムは、臨床設定で部屋の移動が容易にでき、今後の商品化でも魅力的な特徴となっている。
研究チームが挙げているアプリケーション例としては、指の関節リウマチ、腫瘍学、循環器疾患、火傷などがある。