August, 10, 2023, Copenhagen--コペンハーゲン大学、量子技術研究所の研究者は、圧力、熱、ガス放出、磁気、他の多くのことを極限的精度で計測できる、いわゆる量子ドラムを考案した。それは、1個のウイルスの形状のスキャンさえできる。現在、室温動作であり、したがってわれわれの電話に入れることができる。
古来、人々とは周辺世界を計測しようとしてきており、まだそうしている。今回研究者は、量子物理学法則を使い、これまで世界が見た中で最高感度の計測デバイスの一つを開発した。いずれ、だれでも利用できるようになるかも知れない。2つの革新的ソリューションによりニールスボア研究所の研究者は、量子技術をわれわれのポケットに押し込む方法を発見した。
デバイスの核心は、「量子ドラム」と言われ、ドラムヘッドのように振動する薄い膜であるが、何が起こっているかを記述するために量子物理学の法則が必要とするような小さな振幅で振動する。言い換えると、その振動は、信じられないほど速い。つまり、そのドラムは、超精密計測機器、量子スーパーセンサとして利用できる。
「そのセンサは、原理的に非常に高感度であるので、一人の人間がパリで片足で跳んで他方の足に移るのを計測できる。われわれは、1000km離れたコペンハーゲンの地下室からこれを拾うことができる。恐らく、その人は、140万振動/secで跳ぶ必要があり、思考実験としては、その例はベストである」とニールスボア研究所、Albert Schliesser教授は、話している。同氏は、その量子センサチーム長である。
想像的な例であるが、そのセンサは、極めて現実的である、考えられるアプリケーションは多い。量子ドラムが動く振動の変化を読み取ることで研究者は、極限的精度で多くの様々な影響を計測することができる。
「例えば、空気の圧力の変化、温度、ガスの存在、それらはドラムの振動の仕方に影響を与える、またレーザでわれわれは、それを極めて正確に読み取れる。とは言え、これは、始まりに過ぎない」とAlbert Schliesserは説明している。
「小さな金属ピース、あるいは微小な磁石を膜の上に置くことで、われわれは非常に高精度に電場、磁場も検出できる」。
イノベーションにより量子センシングはだれでも利用可能に
そのセンサの膜を実験室の外で使うのは、不可能に近い、極限精度、量子域達成には、液体ヘリウムでほぼ絶対零度(ー250℃程度)に冷却する必要があるからだ。
「そうでなければ、温かい環境からの振動が、ノイズにより計測をかき消す。室温は常に、多くのランダムな動きに関与している」とAlbert Schliesserは説明している。
とは言え、ヘリウム冷却は面倒で、大きく、非常に高価である。多くのユーザにとっては、特にそれが主流のコンシューマデバイスに導入されると、人目を引くことになる。
だが、その問題は、今では過去のモノだ。最新の研究では、独自開発の一種のショックアブソーバと特殊なレーザ冷却技術を組み合わせることが可能であると研究チームは、証明した。この方法で、室温でも、ヘリウム冷却なしで、極限精度が達成できる。
すなわち、そのセンサは、チップに組みこめるほどに小さくできる。
「極めて小さなセットアップである。例えば、そのセンサは、マイクロチップを造る工場の換気内に設置し、温度やガス漏れを監視できる」と研究者は言う。それは、将来的には、スマートフォンなど、多くのコンシューマデバイスに入れることさえも可能になる。
MRI顕微鏡のように、それはウイルスに対する武器になる
研究者は、他の科学的地平も探求している。Albert Schliesser ラボの2つの同期”ドラム”を使うことで、スイスの研究チームが、1個のウイルスの表面をイメージングすることに、これまでで初めて成功している。
それは、ウイルス上でウルトラシャープな針をスキャニングし、ドラムを使ってウイルスとニードル間の力を計測することで達成さた。
現在、Albert Schliesserとチームは、ウイルス内のスピンに9よって発揮される微小な磁力を計測する可能性を研究している。
それは基本的に、われわれの身体の詳細MRI画像を生成する病院のスキャナで使用されるのと同じアイデアである。ただ、遙かに小さなスケールである。また、それがウイルスを理解し、それと闘う強力な新しいツールになりうるという期待がある。
「われわれは、ウイルスのような微小なもののイメージングができるうにしようと取り組んでいる、MRIスキャナと同じようにである。これは健康科学に新たなツールを提供することになる、新しいウイルスを研究したり、特に、ウイルスがどんなタンパク質を含むかを明らかにするなどである」(Albert Schliesser)。