August, 9, 2023, London--Queen Mary University of Londonの研究者は、中国、米国の研究者と協働して、ロボットの触覚機能を強化するL3 F-TOUCHセンサを開発した。 これにより、ロボットは、物体を「感じ」、それに応じて、そのグリップを調整できる。
操作、把捉中に人間レベルの器用さを実現することは、ロボット工学では長年の目標だった。これを達成するためには、確実な触覚情報と力がロボットにとって重要である。IEEE Robotics and Automation Lettersに発表された研究は、, L3 F-TOUCHセンサを説明している。これは、古典的な触覚センサの力感知機能を強化するものである。同センサは軽量、ローコスト、ワイヤレスであり、既存ロボットハンドやグリッパの改良に手頃な価格のオプションとなる。
人の手は、圧力、温度、質感、痛みを感知できる。さらに、人の手は、形状、サイズ、重量、他の物理的特性に基づいて物体間の区別ができる。多くの現在のロボットハンド、グラスパは、触覚機能を組み込んでいないので、人の手にはほど遠く、物体のハンドリングが複雑になる。相互作用力、取り扱う物体の形状についての知識なしでは、ロボットの指は”触った感じ”が得られず、物体は簡単にロボットの手から滑り落ちるか、それらが脆弱なら、押しつぶされる。
Queen Mary University of London、Kaspar Althoefer教授をリーダーとする研究は、新しい L3 F-TOUCH -高分解能指先センサを紹介している。ここでは、L3は、Lightweight, Low-cost, wireLess communication の略。そのセンサは、物体の形状を測定し、それと相互作用する力を決めることができる。カメラ画像で得られた触覚情報による相互作用力を推定する他のセンサと違い、L3 F-TOUCHは、相互作用力を直接測定し、高い計測精度を達成している。
「ソフトエラストマー変形のカメラ画像からの再構成による相互作用力を経験的に推定している競合技術と対照的に、L3 F-TOUCHは、高い測定精度とより広い測定範囲を達成した組込機械的サスペンション構造により相互作用力を直接測定する。同センサは、力計測を形状情報から分離するように物理的に設計されている。したがって、競合のものと比較すると、検知された3軸力は、接触形状の影響を受けない。組込みワイヤレス通信により、そのセンサは、ロボットハンドとの一体性に関して競合を凌いでする。
そのセンサが表面に触れると、コンパクトなサスペンション構造によりエラストマが、接触時に変位できるようにしている。エラストマとはゴムのような材料で、外力に晒されると変形して、高分解の接触形状を計測する。このデータを理解するために、エラストマの変位は、特殊なマーカー、ARTagの動きを検出することで追跡される。これにより、キャリブレーションプロセスで、3主要軸(x, y, および z)に沿って接触力を測定することができる。
「われわれは、今後の研究をセンサの能力を、主要3軸に沿った力の計測たけでなく、ねじれなどの回転力にも拡大することに焦点を当てている。これにより、正確でコンパクトでありながら、ネジ締めを経験することができる。これらの進歩は、操作タスクでより動的で素早いロボットの触覚を実現できる。患者のリハビリ、あるいは高齢者の物理的サポートなど、人とロボットの相互作用設定でも実現可能となる」(Althoefer教授)。
このブレイクスルーは、将来、より進んだ、確実なロボット工学に道を開くことができる。L3 F-TOUCHセンサのように、ロボットは触覚を持つことが可能なので、物体の取扱能力が高まり、複雑な操作作業ができる。