June, 30, 2023, 仙台--X線位相イメージング法は、一般的なX線透視画像(レントゲン画像)に比べて、軟組織における病変(癌など)や高分子材料に対する検査感度が優れることで注目されている。これは、X線の吸収に依存する従来の撮影原理とは異なり、X線の位相に基づいてコントラストを生成する原理に則しているためである。
東北大学多元物質科学研究所の百生敦教授、カールスルーエ工科大学(KIT)微細構造技術研究所(ドイツ)のポーリア ザンギ(Pouria Zangi)博士課程大学院生、および、パスカル メイヤー(Pascal Meyer)博士らの研究チームは今回、X線位相イメージング法に使われるX線透過格子の構造と配置方法を工夫し、撮影感度を増幅する仕組みを考案・実証した。考案した技術は、微細加工技術で製作した放物線形状のX線透過格子を配置することで、被写体からのX線の屈折や散乱の信号を光学的に増幅する仕組みに基づく。X線位相イメージング法に関する世界屈指の経験と技術を有する東北大学と、X線透過格子製作における世界的研究拠点であるカールスルーエ工科大学(Karlsruher Institut für Technologie)との国際共同研究によってはじめて実現した。将来、医用画像診断や非破壊検査への適用が期待される。
研究成果は2023年6月27日(英国現地時間)に科学誌Scientific Reportsに掲載された。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)