June, 21, 2023, 仙台--東北大学大学院環境科学研究科の成田史生教授(工学部材料科学総合学科兼担)のグループは、英国リーズ大学 のYu Shi教授と共同で、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)電極からなる新しい圧電振動発電デバイスの開発に成功した。
CFRP電極は優れた導電性を有し、圧電材料である圧電ナノ粒子をプラスチックに分散した圧電ナノコンポジットの機械的特性を劇的に向上させ、共振時の出力電力を安定に確保することができる。
今回開発した片持ちはり形状の炭素繊維強化圧電振動エネルギーハーベスタは、固定端に0.05 mmの変位振幅を与えた場合に約90 mW/cm3 の高出力電力密度を示し、LED電球を容易に点灯させることができる。また、この技術はワイヤレス通信システムの電源として大きな応用可能性を示し、IoTセンサ分野はもちろん、スポーツ・レジャーや航空・宇宙の分野で、CFRPの新しい展開が期待される。
モノのインターネット(IoT)センサの電源として環境発電の利用が期待されている。環境発電を行う材料のうち、圧電材料は環境中に存在する未利用の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。航空機・宇宙船などの移動体に生じる振動を利用し、IoTセンサを駆動できれば、外部電源や電池交換が不要になり、航空・宇宙システムの自律性と信頼性が向上する。
研究成果は2023年6月13日、ナノテクノロジーとエネルギーの専門誌Nano Energyに掲載された。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)