Science/Research 詳細

300GHz帯でのビームフォーミングと高速データ伝送に成功

June, 15, 2023, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)と、東京工業大学(「東工大」)工学院 電気電子系の岡田健一教授らは、2030年代の6Gに向けて300GHz帯のフェーズドアレイ送信モジュールを開発し、ビームフォーミングを用いた300GHz帯高速無線データ伝送に世界で初めて成功した。
同技術により、移動する受信端末に向かって超大容量データを瞬時に転送できるようになりる。
技術の詳細は2023年6月11日からアメリカ、サンディエゴで開催される国際会議IMS2023 (2023 IEEE MTT-S International Microwave Symposium)で発表予定。

技術のポイント
開発成果では以下の2つの高出力化技術により、ビームフォーミングと高速無線データ伝送を可能にした。

・300GHz帯高出力パワーアンプ回路の設計
300GHz帯で高い出力電力を実現可能なパワーアンプ回路を設計し、NTT独自のInP HBT技術で製造した。パワーアンプ回路では複数の増幅素子から出力される電力を独自の低損失合波器を用いて束ねることによって高出力化を図った。この回路によりCMOS-ICから出力される信号を増幅し同一チップ上に形成されたアンテナから受信端末に向けて電波を放射することにより、高速データ伝送に必要な大きな電力を受信端末に送り届けることができる。

・高周波帯低損失実装技術
従来、300GHz帯で異なる種類のIC同士を接続するためには、それぞれのICを導波管モジュールに実装し接続することが一般的だが、導波管を通過する際に生じる損失が問題となっていた。この成果では、両者を同一基板上にフリップチップ実装し、数十µmの微小な金属バンプを介して接続する工夫を施した。それによって接続損失を低減し、高出力化を実現している。
(詳細は、https://group.ntt/jp)