May, 26, 2023, ふじみ野市--KDDI総合研究所(KDDI総合研究所)と名古屋工業大学は、テラヘルツ帯の送受信機とマルチビームレンズアンテナを組み合わせた仮想化端末ハードウェア実証システムを開発し、送信機と2つの受信機との間で同時に、広帯域なデジタル信号を送受信することに成功した。
両者は、スマートフォンなどのユーザーの端末が身の回りのさまざまなデバイスとテラヘルツ帯で協調し、各デバイスに搭載されたアンテナを仮想的に束ねて一つの端末として動作する「仮想化端末」を提案している。
今回の成果は「仮想化端末」の可能性を高めるものであり、Beyond 5G/6Gで求められる超高速・大容量通信の実現が期待される。
今回の成果
KDDI総合研究所と名古屋工業大学大学院工学研究科 榊原久二男教授、杉本義喜助教らの研究グループは、テラヘルツ帯(300GHz帯)で広帯域信号を無線伝送する2組の送受信機と、ビーム方向を変更可能なマルチビームレンズアンテナとを組み合わせた、仮想化端末ハードウェア実証システムを開発した。
実証システムでは、2台の送信機から入力された信号を1台の送信アンテナから異なる2方向へ向かうビームで送信し、それぞれの信号を2台の受信機で受信することで、4.8GHz帯域幅のQPSKデジタル変調信号を2信号同時に伝送可能とした。マルチビームレンズアンテナは、60度の角度(アンテナ正面を0度とし、プラスマイナス30度)でビーム方向を変更できる。送信側と受信側の双方でビームを向かい合わせることで、QPSKデジタル変調信号の伝送に要求される伝送品質を達成した。
また、受信機の位置や向きが変わった場合でも送信側、受信側それぞれのアンテナで適切なビームへ切り替えることで信号の伝送品質を維持できることを確認した。
(詳細は、https://www.kddi-research.jp)