May, 23, 2023, Washington--チュービンゲン大学(University of Tübingen)の研究チームは、特殊なメガネレンズの集光特性を厳格に定量化、比較するための新装置を開発した、これは近視の進行を遅らせるために使用される。この新しいアプローチで得られた情報は、視覚衰退阻止で一段と効果的な将来のレンズ設計への情報提供に役立つ。
近視は、世界中で増加している、特に子どもの間で増加している。オーストラリアのBrien Holden Vision Instituteによると、現在の傾向が続くと、世界人口の半分が、2050年までには近視になる。この憂慮すべき傾向の原動力は、完全に明らかになっているわけではないが、特殊なメガネレンズが、近視が悪化するのを防ぐことが示された。これは、身体の成長にともない症状の進行を経験する子どもや10代の人々にとって特に重要である。
Opticaでドイツ、チュービンゲン大学とスペイン、University fo Murciaの研究者は、その新しい計測器について説明している。これは、実際の観察条件下でレンズ性能を計測する。また、チームは、近眼の進行を遅らせるために使用する様々なレンズの集光特性を計測した結果も報告している。
「近視進行管理レンズと実際のシナリオの効果の間の関係を見ると、より効果的な処置の方法が分かる。これは、数100万の子どもたちに役立ち、これらのレンズが機能するメカニズムの理解の基本である」とZEISSのAugusto Arias-Gallegoは、コメントしている。
実際の観察条件を捉える
近視は、人の目がわずかに長くなると起こる。これにより遠くのモノがぼやけて見える。それらが、網膜にではなく、網膜の前に焦点を結ぶからである。旧来のメガネレンズは、このボヤケを補正するが、従来のレンズは、近視の悪化を阻止しない。近視の進行は、他の目の問題や不可逆的失明の確率を高める。
網膜信号を変更して近視の進行を抑えるレンズは、臨床的にテストされ、現在、市販されている。研究者は、こうしたレンズが眼球の成長を遅らせ、眼球が長くなるのを防ぐ。これらのレンズは、様々なタイプの構造、マイクロレンズ、マイクロディフューザなどを組み込んでおり、中心視を補正しながら、周辺網膜で画像特性を操作する。しかし、この比較的新しい技術の光学特性は、広く研究、比較されているわけではない。
新しい研究では、チームは現在利用可能なレンズを実際の視界条件下で徹底した特性評価を行った。「最先端技術の探求後、われわれは、これらのメガネレンズの光学特性を実際の視界条件下で評価するために使用できる方法は見つからなかった。したがって、近視の目の瞳や屈折誤差を再現しながら様々な照射に対するレンズの光学反応を計測できる新しい測定器を開発した」(Arias-Gallego)。
新しい測定器は、レンズの周りで回転するアームに搭載された光源を利用する。光がレンズを透過した後、ステアリング回転ミラーが、空間光変調器(SLM)の方へ光を誘導する。SLMは、微小結晶セルで構成されている。これは、高い空間分解能で伝播光をを変調する。
SLMは、近視眼の屈折誤差と瞳形状を再現するので、装置の中核である。これにより研究者は、様々な近視眼のために多様な照射角度で生まれる実際の収差を初めて再現できた。同時に、レンズをテストできる。その収差は、SLMを使って位相マップとしてプログラムされていた。
さらに、SLMによりプログラムされたデフォーカス量が誘導され、研究者はスルーフォーカステストを実行できた。このテストは、シミュレートされた網膜位置の近傍で画像品質を捉え、レンズが、網膜に現れた目の長さとどう相互作用するかを明らかにした。
研究チームは、レンズの光散乱特性も定量化した。これは重要である。テストしたレンズの一つが、散乱を加えることによるコントラスト低減をベースにしているからである。このため、チームは、散乱の定量化で従来必要となっていた特別なディテクタや可動部分を必要としない特注セットアップを設計した。
レンズ特性の比較
「スルーフォーカス結果と光散乱計測を統合することで、われわれは複数のタイプのメガネレンズを正確に特性評価できた。各レンズのためのわれわれの計測と、報告されている近視の進行を遅らせ臨床的有効性とを比較した。結果は、さらなる研究を必要とする新たな問題の発生だった。同時に、将来の設計の有効性を高める潜在的な戦略を示唆している。
この研究では、画像の特性分析を簡素化するためにレンズは単一波長を使用して評価された。実際のシナリオでの照射は、多波長を含むので、研究チームは、様々な波長の光源を含む装置に適用するために取り組んでいる。