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副作用なしに腫瘍に対する免疫反応を起こすナノ粒子

May, 19, 2023, Cambridge--新しい研究では、免疫刺激薬が、全身性炎症を起こすことなく、腫瘍の成長を遅らせる。

身体の免疫系を刺激して腫瘍を攻撃するガン薬剤は、多くのタイプのガンの処置に有望な方法である。しかし、これらの薬剤の中には、静脈を通して送達されると、あまりにも多くの全身性炎症を起こすものもあり、患者に使用することが害になる。

MITの研究者は、そのような障害を回避する可能性のある方法を考案した。新しい研究では、免疫刺激プロドラッグ、体内で活性化が必要となる不活性薬を適切な活性化時間に調整すると、薬剤が免疫系を刺激し、その薬剤に活性体が附与され、副作用なしに腫瘍を攻撃することをチームは示した。

研究チームは、イミダゾキノリン(IMDs)という一種の化合物をベースにしてビン洗いブラシのような構造のプロドラッグを設計した。最適化された活性化反応速度で設計されたこれらボトルブラシのようなプロドラッグで処置したマウスは、腫瘍の成長が大幅に減り、副作用は全くなかった。このアプローチは、ガン患者の免疫反応促進、特に他の免疫療法薬剤、あるいはガンワクチンと組合せて使えると研究者は、期待している。

「われわれのボトルブラシプロドラッグライブラリによってわれわれは、免疫療法動態を制御する免疫効果を示すことができ、副作用を最小化しながら、免疫反応を強化することができた。この種のアプローチは、ある有望な免疫療法剤から毒性を分離したい研究者に道を開く」とMIT、院生、研究の主筆、Sachin Bhagchandaniは、話している。

調整されたプロドラッグ
IMDsとして知られる有機分子は、マクロファージや、先天性免疫反応の他の細胞に見つかる、トール様受容体(TLR)という細胞受容体と結びついている。活性化すると、これらの細胞はサイトカインや他の炎症性分子を生成し始める。

1997年、FDAは、ある種の皮膚ガンを治療する話題のIMD薬剤を承認した。それ以来、多くの他のIMD薬剤が、様々なタイプのガンで臨床試験されたが、一つとして承認されていない。一つには、その薬剤があまりにも多くの身体性炎症を起こすからである。

MITのチームは、IMDsのプロドラッグが、腫瘍マイクロ環境で「ON」になるまでは不活性であるが、これが、そうした副作用を低減できるかどうかの研究に乗り出した。ここ数年で、Johnsonのラボは、新しいタイプ、ボトルブラシュのような形状のプロドラックプラットフォームを開発した。これらのナノスケール、シリンダー構造は、中央バックボーンから広がるチェーンで構成されており、これにより、その分子はボトルブラシ様構造となる。不活性薬剤は、ボトルブラシバックボーンに沿って、活性IMDのリリース速度を規定する切断可能なリンカーで結合されている。

チームは、リリースレートだけが異なる6つのボトルブラシプロドラッグを作り、比較した。目的は、プロトラッグの活性化動特性が抗腫瘍反応にどのように影響を与えるかを調べること。これらボトルブラシプロドラッグを使うことで、研究チームはアクティブIMDsを腫瘍に送達し、同時に血流への放出を回避できると考えている。

「同じサイズと形状の6つのボトルブラシプロドラッグを合成する能力により、われわれは、重要な変数としてのリリース動力学を分離し、研究することができる。すばらしいことに、われわれは、IMDの全身への露出を制限するプロドラッグ構造を特定できることを確認し、これによって毒性を回避、し、抗腫瘍効果を発揮するように腫瘍でそれを活性化できることを確認している」(Johnson)。

細胞とマウスの予備的研究でチームは、最速活性化プロドラッグが、免疫に関わる副作用を起こすことを確認した。つまり、体重減、サイトカインレベル上昇である。しかし、中およびスローな宝珠バージョンは、これらの効果を生まなかった。

研究チームは、次に、大腸ガンの2つの異なるマウスモデルでIMDボトルブラシプロドラッグをテストした。プロドラッグは非常に小さい(約10nm)ので、効率的に腫瘍に集積できる。集積すると、それらは自然免疫細胞に取り込まれ、そこでリンカーが切断される。結果としての活性IMDsの放出により免疫細胞サイトカインや他の分子を放出し、炎症誘発環境を作る。この一連のイベントが、近隣のT細胞を活性化して、腫瘍を攻撃させる。

両方のモデルで、ボトルブラシプロドラッグで処置されたマウスは、腫瘍成長の大幅減速を示した。その処置が免疫チェックポイント阻害剤、別のクラスの免疫治療薬と組み合わせた時、マウスの約20%で、腫瘍は完全に除去された。

この研究で使用された、レシキモドとして知られるIMDで処置されたマウスは、体重が減り、サイトカインレベルが上昇、予想通り、白血球数が減少したが、レシキモドボトルブラシュプロドラッグを与えられたマウスは、これらの効果は、いずれもなかった。

「われわれの分子は、血中にどの程度の活性薬剤を放出するかを制御することでこれらの効果を安全に減らすことができる。そこで活性化合物の放出を最小化するなら、全身性副作用なしで抗腫瘍効果が得られる」(Bhagchandani)。

反応強化
研究成果の示唆によると、IMDボトルブラシプロドラッグの最も有望な利用は、免疫反応を刺激する別の薬剤とともに利用することである。別の可能性は、IMDボトルブラシュプロドラッグをガンワクチンに反応する免疫系を強化する補助薬として利用することである。

「薬剤が集積する身体の場所、それが活性化する時間の両方を変えるボトルブラシプロドラッグ戦略の能力は、ガンあるいは他の疾患に対して免疫反応を安全に活性化するために非常に魅力的である」とIrvineは話している。