May, 19, 2023, 東京--東京大学大学院工学系研究科の種村拓夫 准教授、相馬豪 大学院生、中野義昭 教授らを中心とする研究グループ、浜松ホトニクス株式会社、および、情報通信研究機構(NICT)は、高速光受信器の新規構造を実証することに成功した。
光の波長よりも小さな微細構造からなる光学メタサーフェスを用いることで、垂直に入射された信号光を偏波成分毎に分岐すると同時に受光器アレイに集光し、高速に検出できることを初めて示した。
偏波状態も含めた光の情報を高速に受信するには、これまでは、多数の光学部品を複合的に組み合わせたり、複雑な光回路を用いる必要があり、モジュール全体の低コスト化を妨げる要因になっていた。さらに、大容量化に向けて多数のチャンネルを集積することが求められるが、従来構造では1次元方向に並べるしかなく大規模並列化も困難。これに対してこの研究成果では、光学メタサーフェス技術を用いることで、直径2 mm、厚さ約0.5 mmの薄い素子を1枚挿入するだけで、強度のみならず光の偏波情報も高速に検出できる受信器を実現した。垂直入射型素子のため2次元並列化も容易であり、将来のデータセンタやBeyond 5Gネットワークの構築に直結する技術だと期待される。
研究成果は、2023年5月15日に米国科学誌「Optica」のオンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)