May, 17, 2023, 大阪--大阪大学大学院基礎工学研究科の永井正也准教授らの研究グループは、兵庫県立大学大学院理学研究科の草部浩一教授(大阪大学大学院基礎工学研究科兼任) らと共同で、セラミックスがもつ強靭性をもたらす相変態機構をテラヘルツ波で高効率で誘起させることができ、また、逆にこのことが破壊的な破砕を引き起こすことを発見した。
ファインセラミックスの一種、「部分安定化ジルコニア」は歯の補修材やセラミックスナイフに使用されるなど、強靭性を持っている。この強靭性は、亀裂の伝播を正方晶から単斜晶への相変態によって回避し、亀裂先端の応力集中を緩和する応力誘起相変態強化機構が働くためである。研究グループは、この物質にさまざまなレーザ光を照射し、照射痕を解析した。その結果、テラヘルツ波を照射した際にのみ高効率で破壊的体積膨張をもたらす結晶構造の変化を引き起こすことを発見した。
この結晶構造の変化は合金やセラミックスなどの強靭性や形状記憶物質の基本的な概念であるマルテンサイト変態。このような光で効率的に結晶格子を変化させる手法をうまく活用することで、光を用いた加工や形態制御が可能となり、機能性物質の開発を加速することが期待される。
研究成果は、Springer Nature社が発行するオープンアクセスジャーナル「Communications Physics」誌(オンライン)に4月29日(土)に公開された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)