神経伝達物質としてフォトンを使用

May, 16, 2023, Castelldefels--神経伝達物質は、ニューロン間、または他の隣接細胞へ信号を運ぶ化学的メッセンジャとして機能する。脳は、心拍、呼吸、筋肉運動や睡眠など重要な身体機能を調整するために神経伝達物質を必要としている。

スペインのICFO–The Institute of Photonic Sciencesの研究者は、フォトンを神経伝達物質として使用することで神経活動を制御する方法を発見した (Nat. Methods, doi: 10.1038/s41592-023-01836-9)
PhAST。同システムは、PhAST(フォトンアシストシナプス伝達)と言い、これにより神経科学者は、脳機能や複雑な行動の基礎にあるメカニズムを研究するための新たなツールを利用できるようになる。

自然からの借用
光は世界中ですでに、光遺伝学という形で神経科学実験の重要な部分である。10年以上前に開発され、光遺伝学は、感光性イオンチャネルを表すために遺伝的に改変されたニューロンにより神経活動の活性化、抑制ができる技術である。しかし、脊椎動物では、光は頭蓋骨インプラントの光源により供給される必要があり、脳深部層に達するために必要な光強度は、組織を損傷する。

ICFO研究者は、光遺伝学に別のアプローチを採用することに決定した。それは、化学物質の代わりに、ニューロン間の伝達物質としてフォトンを送る必要がある。PhASTは、自然の感光性イオンチャネルと発光酵素の波生物を遺伝的にエンコードしたシステムであり、外部光源の必要性を含め、これら実験的問題を回避する。論文の著者、Michael Krigによると、研究チームは、イオンチャネルにスペクトル的に一致する酵素を探求した。そのような酵素は、発光酵素と言い、多くの動物に自然に見つけることができる。

神経伝達を回復
PhASTの適用性を実証するために研究チームは、線虫シノラディス・エガンスを遺伝的に改変した。これは、生物学的研究で広く用いられているモデル生物である。特に、チームは、生物の浸害回避回路を切断した、これによりC．エレガンスは、鼻に触れる刺激を回避することができる。突然変異線虫は、発光酵素ベース光遺伝学的光源をシナプス前ニューロンにエンコードされ、また感光性イオンチャネルをシナプス後ニューロンにエンコードされていた。

PhASTプロセスが機能していることを観察するために、チームは、特別な高感度フォトンカウンティング用顕微鏡を開発した。チームは、この技術と人工知能を組み合わせて、シナプス分解能でフォトン放出の鮮明な画像を撮ることができた。

成果は、正にフォトンが神経伝達物質として機能できることを明らかにした。新しいシナプス伝達は、2つの接続されていないニューロン間に確立され、ニューロン伝達を回復し､突然変異線虫は、鼻に触れる刺激に反応することができた。

将来のアプリケーション
今後の研究ではKriegは、将来的にもっと複雑なネットワークの構築を考えている。回路内に、より多くのニューロンペアを含むものである。PhASTの潜在的なアプリケーションの一つに、神経疾患を緩和するために、統合ニューロンネットワークの設計、機能不全シナプス伝達の調整がある。

「全てのコンポーネントは遺伝的にエンコードされているので、PhASTは、原理的に、ヒトを含むいかなる細胞システムにも適用できる」と同氏は、コメントしている。