March, 30, 2023, 東京--NEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」で、(株)サンリックは、東北大学、山形大学と共同で、有機ELの有機物や金属の薄膜形成に用いる真空蒸着セルの開発を行っており、室温で加工できるタングステン-モリブデン系新合金(新合金)とその単結晶線材化プロセスからなる高性能真空蒸着セルを開発した。
新合金は2000℃以上の融点を有し、真空で長期間加熱しても損耗が少なく、高電気抵抗率や電気抵抗率の温度依存性が小さい特性がある。また、シングルプロセスで単結晶線材化する結晶育成法を確立し、自由なヒーター線材形状を可能とした。この新合金ヒーター線材を用いることにより、蒸着セルの形状自由度の向上や、長寿命・高効率化を実現した。
この蒸着セルの実証では、従来に比べて、20%~34%の電流低減と約12%の省電力効果、2倍以上の温度制御性の安定化が確認された。
開発成果は、有機EL製造工程をはじめとする高温加熱装置への幅広い展開が可能で、省エネルギー化とともにカーボンニュートラルの実現に向けた普及拡大が期待できる。
今後の予定
(株)サンリックは、NEDO事業終了後、直ちに有機EL製造装置向けに、開発した蒸着セルの量産を計画する予定。またこのプログラムで開発した蒸着セルは、有機ELのみならず放射線画像診断素子など他の成膜用途へも応用できることから、引き続き東北大学、山形大学と連携して、省エネルギー化の促進に向けた研究開発および普及拡大を実施していく。
(詳細は、https://www.nedo.go.jp)