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玉川大学、世界最高速50Gbpsでの量子乱数発生器の実証に成功

March, 29, 2023, 東京--玉川大学量子情報科学研究所の谷澤健教授と加藤研太郎教授と二見史生教授は、世界最高速の50Gbpsで真に予測不可能な乱数を発生する量子乱数発生器の実証に成功した。
真にランダムな性質をもつ真空場揺らぎを高速かつ並列に測定・処理することで、これまでにない高速の乱数発生を実現した。近年注目を集めている量子技術の有望な応用であり、通信のセキュリティ向上や大規模な数値シミュレーションなど様々な用途への適用が期待できる。 本成果の詳細は、OFC(The Optical Networking and Communication Conference & Exhibition)2023ポストデッドラインペーパー(PDP)に採択され、同会議の最終日に発表された。
国内の大学単独で行われた研究に限れば、少なくともこの10年PDPに採択された実績はなく、大変な快挙である。

今回の成果
真に予測不可能な乱数は、通信のセキュリティ向上や大規模な数値シミュレーションなどへの応用に不可欠な技術である。量子力学によりランダム性が担保された現象を用いて乱数を生成する量子乱数発生器が、量子技術の応用の一つとして近年注目されている。レーザ光とビームスプリッタ(BS)を使って測定した真空場揺らぎ、つまりレーザ光の量子雑音を利用した量子乱数発生は、比較的簡便な構成で高速の乱数発生を実現できる。これまで、18.8Gbpsの最高生成速度が報告されていた。

今回、研究チームは真空場揺らぎに基づく量子乱数発生器が、多段のBSを用いてレーザ光を分岐することで並列に動作可能であるということに着目した。4チャネル並列かつ各チャネル2GHzを超える広帯域に真空場揺らぎを測定し、乱数抽出のために並列で後処理を行い、高速に乱数を発生することに成功した。4チャネル合計の生成速度は50Gbpsとなり、これまでの報告の約2.6倍を達成した。出力乱数を米国NISTの定めた検定であるNIST SP800-90Bにより評価し、良質な乱数であることを確認した。

今後の展望
今回の成果は、量子乱数発生器の乱数生成速度のこれまでの記録を大きく更新するものである。今後は、チャネル数の増加によるさらなる高速化や、光集積回路技術による小型化の検討を進める。さらに、高速の量子乱数発生器の応用分野の拡大にも挑み、情報処理・通信の高度化を通じて、安心・安全な社会の実現に貢献することを目指す。
(詳細は、https://www.tamagawa.jp)