March, 20, 2023, 仙台/京都--京都大学、東北大学他の研究グループは、サブテラヘルツ帯において、これまで困難であった金属磁性薄膜中の反強磁性磁化ダイナミクスを電気的に検出することに成功した。
反強磁性体やフェリ磁性体のテラヘルツ応答性の評価は古くから行われているが、そのほとんどがバルク結晶を対象としたもので、薄膜を対象とした評価はほとんど行われていなかった。テラヘルツで動作する反強磁性体・フェリ磁性体を用いたスピンデバイスは、近年発展が目覚ましい情報通信処理分野や超高速エレクトロニクスにおける次世代デバイスとして期待されており、デバイス応用に資する薄膜材料のテラヘルツ特性評価が急務になっている。
研究成果は、高出力テラヘルツ光源であるジャイロトロンを利用してサブテラヘルツ帯における磁性薄膜の磁化ダイナミクスの測定手法を世界で初めて実証したものであり、これまで困難とされていた磁性薄膜のテラヘルツ評価技術の先駆けとなるものである。
テラヘルツ波はbeyond 5Gなどの大容量・高速通信を担う周波数帯の電磁波。反強磁性体やフェリ磁性体はその共鳴周波数がテラヘルツ付近にあるため、テラヘルツ波に応答する磁性材料として近年注目されている。
研究成果は、2023年3月16日に米国の科学誌「Physical Review Applied」のLetter版にてオンライン公開されました。
研究グループ
京都大学化学研究所の船田晋作 博士課程学生、森山貴広 同准教授、塩田陽一 同助教、小野輝男 同教授らの研究グループ、福井大学遠赤外領域開発研究センターの石川裕也 助教、林哉汰 同博士課程学生、佐野巴則 同修士課程学生、藤井裕 同准教授、福井大学工学部応用物理学科の光藤誠太郎 同教授、東北大学金属材料研究所の木俣基 准教授など
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)