October, 14, 2014, Vienna--ナノ粒子が光を超薄ガラスファイバに挿入することができる。ウィーン工科大学(TU Wien)の研究チームは、スピンと伝搬方向の普通ではない種類の結合を利用して光の方向を選び出すことができた。
TU Wienで微小粒子をガラスファイバに結合した。粒子はファイバ内に光を放出するが、光は予想に反して両方向に進まない。その代わり、光は左か右のどちらかに方向付けられる。これは、注目すべき物理効果、スピン軌道結合を使うことで可能になった。この種の新しい光スイッチはナノフォトニクスに革命を起こす可能性がある。
粒子が光を吸収し放出するとき、この光は一方向だけに放出されるわけではない。「自由空間の粒子は、1つの特定の方向に光を放出するが、常に反対方向にも同程度の光を放出する」とTU WienのArno Rauschenbeutel教授は言う。同教授の研究チームは、極めて薄いガラスファイバに金のナノ粒子を結合することによって、この放出の対称性を壊すことに成功した。粒子の光がガラスファイバの中で左か右か、どちらに放出されるかは入力レーザ光が決める。
光が固有角運動量、つまりスピンを持っているので、これが可能になるだけである。振り子が1つの特定面に振れる、あるいは円運動をするのと同様に、光波は多様な方向に振動することができる。明確に規定された振動方向が光にあるなら、それは「偏向された波」ということになる。単純な平面波は至る所で同じ偏向をもっているが、光の強度が局所的に変わると、偏向も変わる、とRauschenbeutel教授は言う。
通常、光は伝搬方向に対して垂直面で振動する。この振動が円なら、これは飛行機のプロペラと同じであり、その回転軸はスピンに対応し、伝搬方向を示している。しかし極薄ガラスファイバを通して進む光は、特別な特性を持っている。その強度はガラスファイバの内部では非常に強いが、ファイバの外では急速に減衰する。「これはガラスファイバの方向にフィールド成分を追加することになる」とArno Rauschenbeutel教授は言う。光波の回転面が90°回転する。「すると、伝搬の方向はスピンに対して直角になり、ちょうど自転車のように、車輪の軸に対して直角の方向に動いていく」。
車輪の回転方向を、時計回りか反時計回りか、チェックすることで、自転車を横から見たときに、それが右と左のどちらの方向に動いているかを言うことができる。これは極薄ガラスファイバにおける光ビームと全く同じである。光フィールドの回転方向は動く方向と結合している。この種の結合はガラスファイバ形状の直接的な結果であり、電気力学の法則である。この効果は、「光のスピン軌道結合」と言う。
ガラスファイバに結合した粒子が、特定の回転方向の光を放射するようにレーザの照射を受けると、放出光はガラスファイバ内で1つの特定の方向にのみ伝搬する、左か右かのどちらかだ。この効果は、ガラスファイバ上の1個の金ナノ粒子を用いて実証された。ファイバは、人の髪の毛よりも250倍細い。金粒子の直径は、さらに4倍小さい。ファイバと粒子の両方の直径は、放出光の波長よりもさらに小さい。
「この新しい技術は、容易に商用アプリケーションにできる。この方法は集積光回路に適用可能である。そのようなシステムが、いずれ現在使われている電子回路に取って代わるであろう」とArno Rauschenbeutel教授はコメントしている。