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特別なドローンが木々から環境DNAを収集

March, 8, 2023, Zurich--ETH-Zurichとスイス連邦研究機関WSLの研究者は、木の枝に留まってサンプルを採取する飛行機器を開発した。これは、研究者が生物多様性研究者のために以前に留保していた新たな次元を開く。

エコロジストは、種の多様性を分類、モニタするために生物が環境に残した、いわゆる環境DNA(eDNA)、遺伝物質の痕跡をますます利用するようになっている。これらDNA痕跡に基づいて研究者は、あるエリアにどんな種類の種が存在するかを判断できる。

水、土壌からのサンプル採取は容易だが、林冠など他の生息環境は、研究者がアクセスするのが難しい。結果、あまり探索されていない領域では多くの種が手つかずのままになっている。

ETH-Zurichとスイス連邦、森林、雪と景観研究(Snow and Landscape Research)WSLおよびSPYGEN社は協力して、木の枝のサンプルを自律的に収集できる特殊ドローンを開発した。

ドローンの物質収集法
ドローンは粘着ストリップを備えている。枝に留まると、枝の物質がそのストリップに付着する。研究チームは、次にラボでDNAを抽出し、それを分析して、データベース比較を利用して様々な生物の遺伝的一致を指定する。

しかし全ての枝が同じとは限らない。枝の密集や弾性で変化がある。ドローンが留まると枝が曲がったり、跳ね返ったりもする。それでもドローンが自律的に枝にアプローチし、サンプルを採取できるだけ長く安定していられるようにドローンをプログラムすることは、ロボット研究者にとっての主要課題であった。

ETH Zurich と WSL環境ロボット工学教授、Stefano Mintchevは、「枝に留まるには複雑な制御が必要である。最初、ドローンは枝の柔軟性の程度を知らないので、研究者は、それに力センサケージを取り付けた。これによりドローンは、現場でこの要因を計測し、飛行操縦にそれを組み込む」と説明している。

Zoo Zurichで熱帯雨林での操作を準備
研究チームは、7種の木々でその新しいデバイスをテストした。サンプルでは、21の異なる生物群、分類群からDNAを確認した。これはに鳥、哺乳類および昆虫が含まれる。「これは励みになる。収集技術が機能していることを示しているからだ」とMintchevは、コメントしている。同氏は、Science Robotics誌発表の研究の共著者。

研究チームは、今度は、ドローンをさらに改善して、シンガポールの100ヘクタールの熱帯雨林で24時間、可能な限り多くの異なる種を見つけるために準備した。

コンペでドローンが経験するのと類似の条件でドローンの効率をテストするためにチームは、現在、Zoo ZurichのMasoala Rainforestで作業している。「ここでは、どんな種が存在するかを知っている点で有利である。この技術で全てのeDNA痕跡をいかに完璧に採取するかの評価向上に役立つ」(Mintchev)。
しかし、このイベントでは、採取機器は、もっと効率的になり、動きが速くならなければならない。スイスでのテストでは、ドローンは、3日で7本の木々から物質を収集した。シンガポールでは、わずか1日で10倍多くの木々に飛び、そこからサンプルを集めることができなければならない。

しかし、自然の熱帯雨林でのサンプル収集は、研究者にとっては、さらに難しい課題となる。頻繁な雨が表面からeDNAを洗い流し、一方で風や雲がドローンの操作を邪魔する。「したがって、われわれのサンプル収集法が熱帯の過酷条件で力量を証明するするかどうかを興味深く注目している」とMintchevは、話している。
(詳細は、https://ethz.ch)