February, 15, 2023, New Haven--イェール大学工学&応用科学の研究チームは、初のチップスケールチタン添加(ドープ)サファイアレーザを開発した。これは、原子時計から量子コンピューティング、分光センサまで幅広い新しいアプリケーションにつながるイノベーションである。
研究リーダーは、電気工学&応用物理学、物理学のHong Tang, Llewellyn West Jones, Jr. 教授。研究成果は、Natrue Photonicsに発表された。
1980年代にチタンドープサファイアレーザが発表された時、それはレーザ領域の主要な進歩だった。成功に不可欠なものは、利得媒体として使用する材料。つまり、レーザエネルギーを増幅する材料だった。チタンイオンをドープしたサファイアは、特に強力なことが分かり、従来の半導体レーザよりも遙かに広いレーザ発光帯域が得られた。そのイノベーションは、物理学、生物学、化学における基礎的発見、無数のアプリケーションにつながった。
テーブルトップチタン-サファイアレーザは、多くの学術および産業研究所にとって必需品である。とは言え、このレーザの広い帯域は、比較的高い閾値、あるいはそれが必要とする電力量という代償を払う。結果、これらのレーザは高価であり、大きなスペースを占め、その利用を主として実験室に制限する。この制約を克服することがなければ、チタン-サファイアレーザはニッチ顧客に限られることになる、と論文の筆頭著者Yubo Wangは言う。同氏は、Tang研究室の院生。
チタン-サファイアレーザと小サイズのチップとを組み合わせることで、使える電力やスペースによって制約されているアプリケーションを促進できる、例えば原子時計、ポータブルセンサ、可視光通信機器、量子コンピューティングチップさえも可能になる。
その目的に向けて、Tang研究室は、チップスケールフォトニック回路を組み込んだ初のチタンドープサファイアレーザを実証した。それは、チップ上で、いまだ見たことのない最も広い利得スペクトルを可能にし、多くの新しいアプリケーションに道を開く。
要点は、レーザの低閾値にある。従来のチタンドープサファイアレーザは、閾値が100mWを超えているが、Tang研究室のシステムは、約6.5mWの閾値だった。さらに微調整することで研究チームは、それを1mWにすることができると考えている。開発したシステムは、ブルーLEDsやレーザで広く利用されているGaNオプトエレクトロニックファミリとも互換性がある。
(詳細は、https://seas.yale.edu)