February, 13, 2023, Lausanne--スイス連邦工科大学(EPFL)研究者は、低電力チップ設計、マシンラーニングアルゴリズム、ソフトなインプラント可能電極を統合して、様々な神経疾患の症状を特定、抑制できる神経インタフェースを作製した。
工学部の統合ニューロ技術研究所(Integrated Neurotechnologies Laboratory)、Mahsa Shoaranは、ソフト生体電子インタフェース研究所(Laboratory for Soft Bioelectronic Interfaces)のStéphanie Lacourと協働してNeuralTreeを開発した。病気の兆候を検出、軽減できるクローズドループ神経調節SoC。256-ch高分解能センシングアレイと省エネマシンラーニングプロセッサにより同システムは、実際の患者データおよび病気の動物モデル生体内から広範なバイオマーカーを抽出、分類できるので、高精度症状予測でにつながる。
「NeuralTreeは、神経網の正確さと、決定木アルゴリズム(decision tree algorithm)のハードウエア効率の恩恵を受けている。脳卒中あるいは震え検出など、そのように複雑であるが、バイナリ分類タスクのためのエネルギー効率のよい神経インタフェース、神経機能代替アプリケーションのための指の動きの分類などマルチクラスタスクを統合できたのは、初めてである」(Shoaran)。
研究成果は、2022 IEEE固体回路会議で紹介され、IEEE Journal of Solid-State Circuitsに掲載された。
効率、拡張性、多様性
NeuralTreeは、神経バイオマーカー、神経バイオマーカー、ある神経疾患に関わるとして知られている電気信号パタンを脳波から抽出することで機能する。次に、それはその信号を分類し、それらが例えば癲癇発作あるいはパーキンソン病の震えであるかどうかを示す。兆候が検出されると、チップ内にある神経刺激装置が活性化され、それを阻止するために電気パルスを送る。
Shoaranの説明によると、NeuralTree独自の設計は、同システムに、最先端のものと比較して、前例のない効率性と多様性を附与している。以前のマシンラーニング埋込デバイスの32と比較して、同チップは256入力チャネルを誇り、インプラントで処理されるデータは一段と高分解能になる。チップの面積当たりの効率設計とは、それが極めて小さい(3.48㎜2)と言うことであり、さらに多くのチャネルへの拡張可能性が大きい。「エネルギーを意識した」学習アルゴリズの統合、つまり多くのパワーを消費する機能にペナルティを与えるので、NeuralTreeは、極めてエネルギー効率がよくなる。
これらの利点に加えて、同システムは、他のデバイスに比べて、一段と広い範囲の症状を検出できる。これまでは、主に癲癇発作の検出に焦点を当てていた。チップのマシンラーニングアルゴリズムは、癲癇とパーキンソン病患者の両方からのデータセットで訓練されている。また両カテゴリからの予め記録された神経信号を正確に分類した。
「われわれの知る限りでは、これは、オンチップ分類器による初のパーキンソン病振戦検出デモンストレーションである」とShoaranは、話している。
自己アップデートするアルゴリズム
Shoaranは、より効果的な病気のコントールのために、ニューラルインタフェースをもっとインテリジェントにすることに情熱を持っている。また、同氏は、すでに、さらなるイノベーションを見据えている。
「最終的にわれわれは、神経インタフェースを多くの多様な疾患に使うことができる。これをするには、われわれはアルゴリズムのアイデアとチップ設計の進歩を必要としている。この研究は、極めて学際的であるので、Laboratory for Soft Bioelectronic Interfacesのような研究所との協働が必要である。同研究所は、最先端の神経電極を開発できる。また、高品質の患者データにアクセスできる研究所との協働も必要ただ」
次のステップとして、同氏は、神経信号の進化についていくようにオンチップアルゴリズムアップデートを可能にすることに関心を抱いている。
「神経信号は変化する、また時間と共に神経インタフェースは衰える。われわれは、常にアルゴリズムをもっと正確に、信頼できるようにしなければならない。その一つの方法は、オンチップアップデート、つまりそれ自身でアップデートできるアルゴリズを可能にすることである」。
(詳細は、https://actu.epfl.ch)