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ペロブスカイト太陽電池の問題に対処する新方法

January, 19, 2023, Bloomington--国立再生可能エネルギー研究所(NRL)とトリード大学(University of Toledo)の研究者がScienceに報告したところによると、ペロブスカイトソーラセル製造の新しいアプローチが以前の問題に対処し、高効率で優れた安定性のデバイスを製造した。

臭素とヨウ素の豊富な混合物をベースにした高安定、高効率ペロブスカイトの開発は、タンデムソーラセル実現に極めて重要と考えられる。しかし、2つの元素は、光や熱にさらされると分離する傾向があり、ソーラセルの電圧や安定性を制約する。

「この新しい成長アプローチは、相分離を著しく抑制する」とNRELシニア研究者、プロシェクとの主席研究史、新論文“Compositional texture engineering for highly stable wide-bandgap perovskite solar cells.”(高安定、ワイドバンドギャップペロブスカイトソーラセルのための組成テクスチャエンジニアリング)の筆頭著者、Kai Zhuは、説明している。

新しいアプローチは、その問題に対処し、20%を超える効率、1.33V光起電力を達成、1100時間を超える高温連続動作で、効率はほとんど劣化なしだった。この新しいアプローチでオールペロブスカイトタンデムセルは、27.1%の効率を達成した。高い光起電力2.2V、優れた動作安定性である。

タンデムセルでは、狭バンドギャップ層は、ワイトバンドギャツプ層の上に堆積される。バンドギャップ差により、一段と多くのソーラスペクトルを捉えて電気に変換できる。

ペロブスカイトとは、基板に化学物質を堆積することにより形成された結晶構造である。高濃度の臭素は、ペロブスカイト膜の急速な結晶化の原因となり、ソーラセルの性能を低下させる欠陥につながることがある。その問題を緩和するために様々な戦略がとられてきたが、ワイドバンドギャップペロブスカイトソーラセルの安定性は、まだ十分でないと考えられている。

新開発のアプローチは、Zhuとチームが今年初めに発表した、一般的なペロブスカイトを逆転させる研究成果に立脚している。この逆転アーキテクチャ構造を使うことで、研究チームは、効率と安定性の両方を高め、タンデムソーラセルへの組込を容易にした。

NREL主導のグループは、その同じアーキテクチャを使い、ペロブスカイトを作る従来法から、さらに遠ざかった。従来法は、均一なペロブスカイト膜の作製で化学物質の結晶化に逆溶剤を適用する。新しいアプローチは、いわゆるガス焼入れに依存する。窒素ガスの流れを化学物質に吹き付ける方法である。結果は、臭素とヨウ素の分離問題に対処し、構造的、オプトエレクトロニック特性が改善されたペロブスカイト膜となった。

逆溶剤アプローチ二より、結晶は、ペロブスカイト膜内で急速かつ均一に成長、相互に混雑し、粒界が出会うところで欠陥となる。ガス焼入れプロセスは、臭素含有量が高いペロブスカイト化学物質に適用されると、結晶をいっしょに成長させ、上から下まで密集となるので、それらは単粒子のようになり、欠陥の数が大幅に減る。トップダウン成長法は、勾配構造を形成し、上部付近に臭素が多く、セルのバルクに少ない。ガス焼入れ法は、逆溶剤アプローチよりも統計的に再現性が優れていた。

研究チームは、ワイトバンドギャツプ層で20%を超える効率を達成し、動作安定性は、1100時間で5%以下の劣化だった。ボトムセルと連動すると、そのデバイスは、27.1%の効率を達成した。

新しい成長アプローチは、アルゴンと乾性ガスも試し、類似の結果を得た。これは、ガス焼入れ法が、ワイドバンドギャップペロブスカイトソーラセルのパフォーマンスを改善する汎用的な方法であることを示している。

(詳細は、https://www.nrel.gov/)