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近赤外帯域で高透明な世界最高電子移動度のフレキシブルフィルムを開発

December, 7, 2022, つくば--産業技術総合研究所(産総研)製造技術研究部門リマニュファクチャリング研究グループ 野本淳一 研究員と山口巖 上級主任研究員は、世界最高の電子移動度を特徴とする可視から近赤外帯域まで高透過なフレキシブルフィルムを開発した。

この透明導電フィルムは、耐熱性の低いポリエチレンテレフタレート (PET) 樹脂基材上に形成した酸化インジウム (In2O3) 薄膜。微量の水素を添加した非晶質薄膜は、結晶化することで高い電子移動度を実現できる。ただ、150~200 ℃程度で熱処理する必要があるため、熱に弱い樹脂基材上では結晶化することができなかった。
 研究チームは、紫外線エキシマレーザ照射技術を採用することにより、基材に熱ダメージを与えずに透明導電膜層を結晶化することに成功した。これにより、従来材料であるフレキシブルスズ添加 In2O3 (通称:ITO) 透明導電膜の約 20 cm2/Vs を超える世界最高の高電子移動度 133 cm2/Vs を PET 樹脂基材上で実現した。さらに、この高い電子移動度により低い電子密度でも高い導電性が得られるため、可視から近赤外線帯域までの広い波長帯域で高い透明性を実現できる。これらの特性を透明ヒータに適用し、視認性と防曇性に優れた監視カメラや車載カメラに応用できる。また、近赤外光を発電に利用するフレキシブル次世代太陽電池の変換効率の向上にも役立つ。

この成果は、2022年12月7日~9日に、幕張メッセで開催される高機能素材Weekのブース(36-13)で展示される。
(詳細は、https://www.aist.go.jp)