November, 29, 2022, 京都--京都大学電子工学専攻の掛谷一弘准教授、物質材料研究機構(NIMS)の齋藤嘉人NIMSジュニア研究員および高野義彦MANA主任研究者の研究グループは、ビスマス系高温超伝導ウィスカー(針状)結晶を用いたテラヘルツ光源の製作に成功した。同時に、その放射原理を偏波解析により明らかにした。
高精細8K動画などの大容量データの高速通信のために、現行の5G通信に用いられているマイクロ波帯よりも十分に高い周波数を持つテラヘルツ波帯が関心を集めている。その中で、ビスマス系高温超伝導体から作られる超伝導テラヘルツ光源が注目されている。今回、グループは短時間で育成できるビスマス系高温超伝導ウィスカー結晶を用いたテラヘルツ発振デバイスの開発に成功した。超伝導テラヘルツ光源にはこれまで平板状単結晶が用いられてきたが、ウィスカー結晶を用いることにより、素子作製時間の短縮と多機能化が見込まれ、研究開発の加速が期待できる。
研究成果ではウィスカー結晶の発振特性が初めて解明されたことから、光源の発振周波数などの設計が可能になった。また、電磁界シミュレーションから、超伝導テラヘルツ光源が持つ広い発振周波数範囲を説明するカギを発見した。
研究成果は、2022年11月21日に米国の国際学術誌Applied Physics Letters誌にEditors’ pickとしてオンライン公開されました。
(詳細は、https://www.t.kyoto-u.ac.jp)