November, 22, 2022, 東京/京都--情報通信研究機構(NICT)、京都大学(総長: 湊 長博)、株式会社東芝、株式会社ZenmuTechは、量子セキュアクラウド(量子暗号ネットワーク上に秘密分散を組み合わせた分散ストレージシステム)にゲノム解析専用装置を装備し、全ゲノムデータの安全な伝送・保管・解析をリアルタイムで実施できるシステムの開発に成功した。
安全なデータの解析手法として開発されている準同型暗号を用いたものやマルチパーティ計算では扱うことがほぼ不可能であった全ゲノムデータに対し、情報理論的安全な暗号化処理を施すことにより、ゲノム解析専用装置の処理速度を損なうことなく、情報理論的安全なデータ解析を実現した。また、解析や治療に不必要な個人情報に対し、フィルタリング機能を実装しており、個人情報を保護しつつゲノム解析を実施できるシステムが完成した。
今後、この技術は、超長期に保管が必要な患者のMRI画像データなどの安全な利活用を可能とするデータプラットフォームとして活用されることが期待されている。
各機関の役割分担
・情報通信研究機構: 高速秘密分散、高速OTP暗号化装置、フィルタリング機能の実装
・京都大学: ゲノム解析手法、ユーザインターフェース設計、解析デモ
・東芝: 高速量子鍵配送装置及び、ゲノム解析専用ハードウェアを含む実証環境構築・運用
・ZenmuTech: 準同型暗号、マルチパーティ計算周辺分野の調査、秘密分散ソフトウェア開発への協力
研究成果は、2022年11月2日(水)に、英国科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。
(詳細は、https://www.nict.go.jp)