対向車のドライバーの目に負担をかけないスマートヘッドライトを開発

September, 22, 2014, Pittsburgh--カーネギーメロン大学のロボティクス研究所が開発したスマートヘッドライトにより、対向車のドライバーの目を眩ましたり、夜間に雪や雨の中を運転しているときに起こるまぶしさに悩まされることなく、ハイビームをフルに使うことができる。
プログラマブルヘッドライトは、実質的に対向車のドライバーの数にかかわらず、対向車を認識し追跡し、目に入るはずの、ヘッドライトビームのわずかな部分のみを消すことができる。雪や雨の中では、そのヘッドライトは車の直ぐ近くの個々の雪片や水滴を追跡することによってドライバーの視界を改善し、ヘッドライトビームの細い銀色の光を阻止する。普通なら、ヘッドライトビームは、落下する雪や雨を照らし、ドライバーの目に反射してくる光である。
「ヘッドライト開発から130年経っても、自動車の衝突事故や死亡事故は夜間に起こっている。交通量が遙かに少ないにもかかわらずだ」とロボティクス准教授、スリニヴァーサ・ナラシマン氏（Srinivasa Narasimhan）は言う。「しかしわれわれのプログラマブルシステムでは、路上の他のドライバーの気を散らすことなく、現状のものより一段と明るいヘッドライトを造ることができる」。
研究チームが考案したシステムは、標準的なヘッドライトやLEDsクラスタの代わりに、DLP(Digital Light Processing)プロジェクタを使用する。これにより光を100万個の微小ビームに分割することができ、個々のビームをオンボードコンピュータで独立に制御できる。
カメラが対向車、落下する雨や雪、その他、道路標識などを認識する。100万個のビームは、それに応じて調整でき、一部は対向車のドライバーの目に不快にならないように調光し、あるいは通りの標識や車線を目立たせるように明るくすることもできる。全般的な照明の変化は微小であるが、通常ドライバーは認識できない。
カメラが検出してからそれに応じた照明の調整までの時間、システム遅延は1～2.5ミリ秒(ms)。このほぼ瞬間的な反応は、ほとんどの場合、システムが、高度なアルゴリズムを用いてヘッドライトシステムが反応する時間までに対向車のドライバや落下する雪の位置を予測する必要がないことを意味する。
ナラシマン氏によると、このスマートヘッドライトは通常のハイウエイスピードで対向車ドライバーの目を眩ますことなくハイビームを維持することができる。
プロジェクタは眩しさを抑えるだけでなく、走行レーンを目立つようにするためにも使うことができる。ナビゲーションシステムと連動させると、このプログラマブルヘッドライトは矢印や他の方向指示でドライバーを視覚的にガイドすることができる。
研究チームは、実験システムを市販のパーツで組み立て、同システムをピックアップトラックのボンネット上に搭載してストリートテスト中に第3のヘッドライトとして使用した。チームの計画では、来年さらに小さなバージョンをトラックのヘッドライトスロットにインストールする。
研究支援は、Ford Motor Co., Intel Science and Technology Center for Embedded Computing, the Office of Naval Research and the National Science Foundation>