October, 21, 2022, 京都--京都大学、坂本雅典 化学研究所准教授、 Lian Zichao 同博士課程学生(現:上海理工大学教授)、田中晃二 高等研究院特任教授、寺西利治 化学研究所教授らの共同研究グループは、局在表面プラズモン共鳴(LSPR : Localized Surface Plasmon Resonance)を示す材料を用いた赤外光のエネルギーアップコンバージョン技術を開発し、可視光でしか進めることのできない光化学反応を赤外光を用いて進めることに成功した。
LSPR材料を用いたエネルギーアップコンバージョンの機構は分光測定技術と赤外光照射下の触媒活性の評価によって明らかにされた。開発された技術は、赤外光で多彩な反応を進めることが可能な光触媒や赤外光応答太陽電池への応用が期待される。
低いエネルギーの光から、高いエネルギーを作り出すアップコンバージョンという現象は、エネルギーの低い赤外光を触媒反応や光発電に応用するためのカギを握る現象。
太陽エネルギーのおよそ半分を占める赤外域の太陽光の有効利用の実現は、人類に新たなクリーンで持続可能なエネルギー資源をもたらす。一方で、赤外光のエネルギーは可視光と比べると低く、赤外光を人類に有益なエネルギーに変換する際にはエネルギーの低さが問題となっていた。
研究者は、今後、触媒の更なる性能向上とともに、今回発見されたエネルギーアップコンバージョン機構の詳細な解明を進める予定。
研究成果は、2022年10月18日に、国際学術誌「Nature Sustainability」にオンライン掲載された。
(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp)