October, 19, 2022, Washington--南京大学の研究者は、ペンと鉛筆を使って紙にメタマテリアルを描画する自動描画装置を開発した。
研究チームは、それを使って、電磁スペクトルのマイクロ波領域操作に使える3つのメタマテリアルを作製することでその新アプローチを実証した。
メタマテリアルは、人工設計された複合材料で、材料そのものの化学的組成ではなく、その特性はパタン化された微細構造に由来する。正確な形状、構造、サイズ、方向、その構造の配列を使って、電磁波を操作できる。これは、従来の材料ではできない。
「メタマテリアル、特にアブソーバとして利用されるものは、一般に薄く、軽量、広くて強力でなければならないが、従来の基板を使って薄くて軽量なデバイスを作るのは簡単ではない。基板に紙を利用すると、これらの要件達成に役立ち、同時に表面に一致し、機械的に再構成可能なメタサーフェスに適合する」と中国、南京大学、研究チームリーダー、Junming Zhaoは、説明している。
Optical Materials Expressで研究チームは、その新技術を説明している。これは、導電性インクのボールペンを使って導体を描き、シャープペンが抵抗と抵抗薄膜を描く。チームは、このプロセスをコンピュータ制御描画装置に実装して、それを自動化し、正確にした。
「紙ベースのメタマテリアルは、以前にインクジェット技術を使って作られたが、われわれの技術は、一段とローコスト、シンプル、より柔軟である」とZhaoは、言う。「われわれの方法は、携帯電話、他のソースからの入射電磁エネルギーを吸収する再構成可能なアンテナやメタマテリアル、メタマテリアルデバイスの作製に役立つ」。
自動描画
新しい描画装置は、導電性材料を含むペン、または様々なグラファイト含有量の通常シャープペンを利用する。それは、3つのステッピングモーターを持ち、そのうち2つが、水平面でペンまたは鉛筆の動きを制御する、一方、他の一つは、垂直面で描画器具を上下させる。描画装置のパラメタ、動くスピードなどは、コンピュータ制御である。
「いくつかテストした後、22㎜厚の紙を使うとベストパフォーマンスであることを確認した。これは入手しやすく、鉛筆や伝導性インクに適合している」とZhaoは説明している。
研究チームは、伝導性インクペンを使い、紙にパタンを描き、パタンが3×10^6ジーメンス/mの伝導性であることを確認した。チームは、様々な量のグラファイトの鉛筆もテストした。描画回数、描画圧が、電気抵抗にどのように影響するかを特性評価した。これによりチームは、特殊抵抗のパタンを描くために必要な条件を計算することができた。
紙のメタマテリアル作製
新しい描画技術を用いて研究チームは、3つの異なる紙ベースメタマテリアルを設計、作製した。偏向変換器、アブソーバ、コンフォーマルコーディングメタマテリアル。チームは、偏向変換器は、直線偏向を90°回転させることができることを示した。3.1~6.6GHz、90%の変換効率。作製したアブソーバは、わずか58.3gの質量、2.1GHzから10.5GHzの間、90%の吸収率を達成。
チームは、レーダー断面積低減に使われるコンフォーマルコーティングメタマテリアルも作製。これは、。軍用機や船舶でレーダー信号を隠すために使われる。このメタマテリアルは、2の構造ユニットがあり、相互に180°反射位相差。これにより、1-bitコーディングに‘0’ と ‘1’要素として機能させることができる。曲面の周りに曲げると、このメタサーフェスは、周波数帶8.94~11.59GHzで10dBレーダー断面削減を達成した。
「将来的には、その描画技術を利用して持ち運びできるメタデバイスを設計、作製できる。これらは、皮膚に適用して、電磁遮蔽や他の機能を達成できる。われわれは、機械的に再構成可能なメタマテリアルの設計も計画している。これらは、紙が曲り、折りたためるという事実を活用するものである」とZhaoは話している。