September, 16, 2014, San Diego--カリフォルニア大学(California University)サンディエゴの研究チームは、初の500GHzフォトンスイッチを作製した。
UCサンディエゴ電気・コンピュータ工学、Stojan Radic教授は、「われわれのスイッチはこれまでに公表されたものと比較して桁違いに高速である。今日使われている最速の光波情報チャネルのスピードを上回る」とコメントしている。
Scienceに発表された研究論文によると、UCサンディエゴJacobs工学部の研究チームは、従来の電子の限界を超える光を操作しなければならない用途では超高速の光制御が不可欠であると主張している。高速のビーム制御、スイッチングに加えて、最新の成果は新しい種類の高感度レシーバ(高速動作が可能)、高速のフォトンセンサ、光処理デバイスに道を開く。
その新しいスイッチを造るためにUCサンディエゴのチームは、ファイバコアのサブナノメートルの振動に対する分解能を持つ新しい計測技術を開発した。局所的ファイバ分散は、小さなコアの振動でも、大きく変化するので、これは重要。最近まで、そのような小さな変動の制御は可能でないと考えられていた。特にデバイス長が長い場合は不可能と考えられていた。
実験では、3フォトン入力を使って500GHzを超えるスピードでワットスケールのビームを操作する。
研究では、UCサンディエゴのクワルコム校フォトニックシステム研究所のエンジニアが、シリカガラスでできたファイバで高速制御が可能であることを実証した。「シリカファイバコアはサブナノメートル精度で制御でき、高速の数フォトンコントロールに使えることを示した」とRadic氏は説明している。
強い光ビームを制御することは容易ではない。光ビームを直接制御するために高共鳴物理過程あるいは光キャビティに依存する従来のアプローチを捨てて、研究チームは特殊設計の高非線形ファイバを用い、実験に必要な全パルスを生成した。新しいスイッチを設計するために、分子スケールで制御されたファイバコアにおけるフォトンの相互作用を記述する新しい理論が必要だった。このデバイスを造るために研究チームはサブナノメートルの分解能でファイバコアの振動を計測する技術を開発した。「この技術を使ってわずか3つのフォトンで500GHz動作する初めてのフォトンゲートを同期させることができた」とRadic氏は説明している。これに加えて、フォトンゲートの同期に寄与するものには、「適切な微視的変動を予測する能力、物理的なファイバ内のそのような変動を計測する能力」の2つが含まれる。
研究チームによると、従来の計測装置にはファイバは同じに見えるかも知れないが、また同じコア変動を持つようにさえ見えるが、スイッチングパフォーマンスは著しく異なる可能性がある。これは第1に、コアの振動に対する極限的感度によるものだ(スイッチングや処理に使うには、フォトンは相互作用しなければならないが、長尺ファイバ通信で用いられるフォトンは相互作用しない)。
振動に対する感度は、ガラスでできたファイバコア構造との関連では特に注目に値する。その基本的な構成要素、シリコン-酸素(Si-O)分子リングは直径0.6nmであり、これにより物理的なファイバコアが実現される極限精度を決める。今日まで、小さな変動の制御はできないと考えられていた、特に長尺の場合ではできないと。しかし、実際のファイバの振動プロファイルが得られると、シリカファイバコアがサブナノメートル精度で制御可能であること、したがって高速、数フォトン制御に使えることが明らかになった。
単に可能であると言うにとどまらず、実行できるようになったのは、サブナノメートル精度でファイバを計測できるようになったためである。研究チームは、ファイバに損傷を与えることなく、長尺のファイバを計測する方法を開発した。「この技術は、数km先のファイバにハエが止まってもコアに起こる擾乱を検出し、計測できるほど高感度である」とRadic氏は説明している。
ファイバを計測した後、研究チームはいわゆる「ナノスケールシグナチャーライブラリ」を生成することができた。そこから、フォトン励起の最大減損に対応する特殊コア振動プロファイルを同定する。計算により長尺ファイバの固有コア変動プロファイルが得られると、研究チームは、コア振動ライブラリから同じ変動プロファイルの2つのファイバセクションを組み合わせた。
ハード部分は、数フォトン制御の効率とスピードの算出。研究チームは、特定のファイバに許された制御パルスにおける最小数のフォトンを推定することができた。結果として、2.5ps長パルス、ピークパワー178nWに含まれるパルスは3以下、つまり500GHzレートで数フォトンスイッチングが可能であることを示している。
フォトンスイッチングをフルに活用するには、新しいタイプのファイバ、確率分散が最小になるようなファイバが必要になる、とRadic氏は言う。UCサンディエゴのチームは、この目的で、すでにファイバのプロトタイプを作製している。
(詳細は、www.ucsd.edu)