September, 29, 2022, Washington--ハーバード医科大学の研究者は、組織の3D顕微画像を撮ることができる柔軟な針のような内視鏡イメージングプローブを開発した。屈曲性は、チームが開発した新しい柔軟な屈折率分布型(GRIN)レンズによって可能になっている。
GRINレンズは、最初は通信産業向けに開発されたが、組織内深部を撮像できる蛍光顕微鏡アプローチで一般に使われている。しかし、それらが剛性コンポーネントであるために、臨床でのその利用は制約されている。
「従来の生検が行われると、それは時間的には一瞬であるが、ラボから結果が戻るまでに数日かかる」とハーバード医科大学、研究主任、Guigen Liuは指摘する。「われわれの屈曲性イメージングプローブなら、待ち時間を数分に短縮できる。また、組織の変化を動的にモニタする、例えば、腫瘍が時間経過と共に処置にどう反応するかのイメージングに使える」。
Optics Express誌で、研究チームは、新しいGRINレンズを説明している。チームは、これを内視鏡プローブに組み込んだ。プローブのイメージング特性は、それが曲げられても維持されることが実験で示された。
「これらGRINプローブの屈曲性により生きた被験者、動物や人間の患者などの計測が、著しく簡単に、実用的になる。精密な、侵襲性の少ない顕微鏡ガイドの針の設置、組織生検のカテーテルや腫瘍アブレーションに有用である」(Liu)。
曲がったレンズによるイメージング
GRINレンズは、屈折率が連続的に変わる石英ガラスロッドであり、別の集束レンズなしで、ロッドを通して来る光を集束する。約50年前に開発されてから、GRINレンズは剛性イメージングプローブとしてのみ利用できると一般に考えられていた。新しい研究では、チームは、屈曲性GRINレンズを通してイメージングが可能であるかどうかを見つけることで、この考えに挑む決心をした。
研究チームは、500µm径、約100㎜長のGRINレンズをカスタム設計した。そのレンズの長く、細い形状と固い外部ケーシングにより、そのレンズは壊れることなく、柔軟に約10°曲げることができる。次にチームは、その新しいGRINレンズを内視鏡イメージングプローブに組込み、それにより2光子3D蛍光イメージングを行うことでテストした。
組織内部深くで経験する実世界の曲げをシミュレートするためにレンズは垂直に設置され、プローブが、生検で使用される針のワーキングチャネルで用いられた場合に経験される一種のビーム偏向を導入するために押された。
実験は、プローブの片端が6㎜横方向へズレても分解能と信号レベルが目立って劣化しないことを示した。「レンズが曲げられていても、ロッドを通した画像を伝える信号レーンが、横方向の変位に適応する、滑りやすいカーブの外側方向へ自動車が移動する傾向があるのと同じである。信号レーンは、移動中にわずかに歪むが、順序や形など、その特性を概ね維持している。これにより、ほとんどの分解能や信号レベルは維持される」(Liu)。
抗ガン剤をふるい分ける新方法
その内視鏡を臨床に持ち込むにはさらなる開発とテストが必要であるが、デバイスはすでにバイオメディカル研究にアプリケーションを見つけている。チームリーダー、共著者、Oliver Jonasと研究者は、その内視鏡と新しいタイプのマイクロデバイスを組合せ、様々なガン治療の効果の評価を迅速にする方法をテストしている。
チームの新しいマイクロデバイスは、腫瘍に直接移植され、20薬剤までの少量を運ぶように設計されている。腫瘍組織を除去することなく、様々な薬剤の効果を計測するために、研究チームはGRINベースの内視鏡をマイクロデバイスに直接挿入し、それを使って腫瘍内の蛍光信号をイメージングする。このセットアップは、現在マウスで研究中であるが、最終的には、患者に使って、どの処置オプションが個々の患者の特殊腫瘍治療にベストであるかを素早く把握する。
そのプローブを臨床アプリケーションに移行させるために、研究チームは、より長い屈曲性GRINレンズの開発にも取り組んでいる。さらに深くイメージングでき、より柔軟なレンズである。チームは、柔軟性に影響を与えない薄いポリマコーティングを用いてその光学コンポーネントの商用耐久性強化も考えている。