September, 16, 2022, Washington--南京郵電大学(Nanjing University of Posts and Telecommunications)の研究チームは、大気中で多チャネル通信リンクを形成するために単一光パスを利用する新しい可視光通信システムを実証した。
「今日のフリースペース光通信システムは、一般に、2チャネル設立のために個別の光パスで2つの個別リング使う。この新しい通信モードは、単一リンクを使うことでチャネルスペース、コスト、パワーを半分にできる」と同大学の研究チームリーダー、Yongjin Wangは説明している。
研究チームは、新しいアプローチをOptics Lettersに発表した。それは、多重量子井戸(MQW) Ⅲ-窒化ダイオードというデバイスに基づいており、同時に発光、検出ができる。
「この技術により光ベース通信機能が1つのチップに高集積できる。これは、回路ボードのサイズ削減にも使え、それらが安価でポータブルになる。最終的にわれわれは、この通信モードをベースにしたフォトニックCPUを開発したい」とWangは話している。
クロストークのキャンセル
MQW Ⅲ-窒化ダイオードは、チップベースのデバイスであり、特徴は、発光と検出する波長間のオーバーラップ領域である。これにより、ワイヤレス光ベース通信システムでトランスミッタとレシーバの両方として同時に使える。これらのダイオードは、様々な光放出、伝送、変調および検出機能を特徴としており、このアプリケーションにとって有用である。
新しい研究では、チームは青色とグリーン発光MQW Ⅲ-窒化ダイオードを使用して単一リンク通信システムを構築した。これは、1チャネル以上で情報の送信と受信ができる。このためには、様々な光信号間に生ずるクロストークを阻止する方法の考案が必要だった。
チームは、単一の光パスで2つのグリーンダイオード間に2つの青色発光MQWⅢ-窒化ダイオードを設置するセットアップ設計によりこれを達成した。各ダイオードチップは、分布ブラッグ反射器(DBR)でコーティングされており、これがグリーン光を透過しながら青色光をブロックする。これにより、1つのグリーンダイオードがトランスミッタとして、さらに1つがレシーバとして機能するグリーン光パスとなり、それに対して青色光は、青色ダイオードトランスミッタ/レシーバペアの間に置かれている。
2チャネルのデモンストレーション
システムをテストするために研究チームは、様々なタイプの光学的特性評価を実施した。例えば、トランスミッタとして機能する青色ダイオードでは、注入電流が10mAから30mAに増加するにつれて光出力が増加し、電気から光ドメインへのエネルギーと情報を変換する。チームは、青色光チップの発光と検出スペクトルを約37nmオーバーラップとし、これにより発光と検出の同時確認も示した。全体として、これらのテストは、単一光パスフルデュプレクス光通信リングが、2ペアのMQW Ⅲ窒化ダイオードを使うことで安定し、データレート100bpsを供給する。
「この新しい通信モードにより、われわれは、チャネルスペースとコスト削減、それに通信の高集積を示した。これは、将来のフォトニックチップの微小化と集積化にとって極めて重要である」(Wang)
研究チームは、MQW Ⅲ窒化ダイオードの同時発光と検出特性の理解向上に取り組んでいる。より集積化された多機能オプトエレクトロニックチップを作るためである。チームは、新しい通信システムの検出機能改善にも取り組んでいる。