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AM/ARヘッドセット向けに設計された可変焦点薄型レンズ

September, 16, 2022, Washington--上海交通大学の研究者は、焦点長連続可変の薄型メンズを開発した。新しいレンズは、いずれAR/VRデバイスの視覚疲労を過去のものにできる。

上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)研究チームリーダー、Yan Liによると、今日のAR/VRデバイスに使用されている3Dディスプレイの多くは長時間使用後に不快症状を起こす。これは、適合的眼球離反運動の不一致によるものである。「われわれのレンズは、アルバレスレンズ(Alvarez lens)として知られており、この問題の緩和に利用できる。これは、快適性とリアリスティックな3Dエクスペリアンス改善につながる。これにより、AR/VRヘッドセットがさらに広範に利用可能になる」と同氏は説明している。

研究成果は、Optics Expressに掲載された。新しいレンズは、2枚のフラットな液晶素子でできている。これらが互いに対して連続的に動き、レンズの焦点長を変える。新しいアルバレスレンズを実証するためにチームは、それをARディスプレイシステムに組み込んだ。同システムは、様々な奥行きで現実世界の光景に仮想画像を映し出した。

「このレンズは、連続的で大きなチューニング範囲を持つ。薄いフォームファクタは軽量であり、簡素なローコスト製造プロセスで製造可能である」とLiは話している。同氏は、セントラルフロリダ大学Shin-Tson Wuのラボと協働している。「この種のコンパクトなチューナブルレンズは、AR/VRデバイスだけでなく、顕微鏡イメージング、マシンビジョン、レーザ加工や眼科にも有用である」。

バーチャルエクスペリアンスの改善
AR/VRデバイスでは、適合的眼球離反運動の不一致(VAC)が生ずる、左目と右目がわずかにズレた2つの画像を受け取り、脳がそれを統合して仮想3D画像を作るからである。その画像をはっきり見るために、各眼が、画像が表示される固定2D面に焦点を合わせる。これにより統合3D画像が生じ、2D面で単眼焦点が一致せず、目眩や視覚疲労を起こす。

可変焦点ディスプレイで適合的眼球離反運動の不一致を小さくすることは可能である。仮想物体が、多様な瞬間に様々な奥行きで存在するかに見えるように単一面仮想物体の奥行きを動的に変えるのである。別のオプションは、多焦点ディスプレイシステム。これは、多数の奥行きで仮想物体のマルチ2D横断面を表示して3D立体を再建する。両方の場合、VAC問題は抑制される。人の眼が、仮想物体の正しい奥行きに焦点を結ぶからである。

可変あるいは多焦点ディスプレイシステムは、広い範囲で連続的に焦点を変えることができる可変レンズを必要とする。ヘッドマウントAR/VRデバイスで利用できる程度にコンパクト、軽量でなければならない。Liは、10年ほど前から疲労のないARディスプレイや液晶デバイスに取り組んできており、先頃、パンチャラトナムベリー(PB)光学素子として知られる液晶ベース回折光学コンポーネントの製法を開発した。これは、これらの要件を満たすチューナブルレンズ作製に使える。

「われわれの方法により、高精度、ローコスト、前例のない便利さでアルバレスレンズ作製の必要な複雑で不規則位相プロファイルを備えたパンチャラトナムベリー光学素子が可能になる。われわれは、この超コンパクトアルバレスチューナブルレンズが、VR/ARディスプレイの長年の適合的眼球離反運動の不一致問題にソリューションを提供できるかどうかを見たかった」(Li)。

ARディスプレイのデモンストレーション
 研究チームは、新しいアプローチを利用して、2つの平面パンチャラトナムベリー液晶素子でできたチューナブルアルバレスレンズを作製した。各素子では、約数100nm厚の超薄ポリマ液晶層が、1-㎜厚ガラス基板にコーティングされている。研究チームは、光学テーブルで、このアルバレスレンズを市販の光学素子でできたARディスプレイシステムに組み込んだ。アルバレスレンズの2枚の素子を横方向にシフトさせることで、近い距離から遠い距離まで仮想画像の奥行きを連続的にチューニングすることができた。

「奥行きがどうであろうと仮想画像は、実世界の実際の3D物体と同じ焦点効果のインとアウトを示した。つまり、人の眼は常に仮想3D画像の奥行きに正確に焦点を結んでいる。こうして適合的眼球離反運動の不一致問題を克服している」。

この研究で実証されたアルバレスレンズは、532nm単色動作に最適化されていたが、研究者は、フルカラーディスプレイにそれが使える方法に取り組んでいる。チームは、この研究で手動で実施した、光学素子間の側方変位を制御する電子的方法の採用も考えている。