September, 11, 2014, West Lafayette--パーデュ大学(Purdue University)の研究チームは、生きた細胞の脂質代謝をマッピングするための新しいイメージングプラットフォームの使い方を示し、特にコレステロールが蓄積されている場所を見つけ出し、肥満、糖尿病、長寿の研究の方向性を示した。
このイメージングアプローチは、コレステロール(脂質の1タイプ)の蓄積を定量化するだけでなく、脂質の「不飽和化」や酸化の定量化もできる。同大学化学学部、生体医療工学Weldon校、Ji-Xin Cheng教授によると、これによって細胞がインスリンを使う能力を減ずることになる。
研究は、老化や病気の脂質代謝の影響研究に広範に利用されている、シノラブディスエレガンス(C. elegans)と言う生きた線虫で行われた。
Cheng氏は、「この生き物は透明であるので、起こっていることをリアルタイムで見ることができる。その生き物の内部の代謝を追跡することができる」とコメントしている。
研究チームは、ハイパースペクトラル誘導ラマン散乱顕微鏡というイメージングプラットフォームを用いた。この装置は、レーザで振動スペクトラム、一種のスペクトラルフィンガープリントを計測することによって特定の分子を識別し追跡することができる。
従来のラマン顕微鏡は結果を得るのに数時間かかるが、この新しい方法は高速動作であり、研究者はリアルタイムで生き物の変化を計測することができる。
「生きた組織で起こっていることをリアルタイムで観察できることのメリットは、同じ細胞を時間とともに追跡できること、つまり患者の健康を追跡するために同じ人間を時間をかけて追いかけるようなものである」とCheng氏は語っている。
脂質の不飽和や酸化、生きた細胞内のコレステロールの蓄積の程度をマッピングすることにより、ダイエットの影響、動物や人間の肥満、糖尿病、老化におけるインスリンの役割をさらに詳しく研究することができる。
「脂質分析のほとんどは、動物抽出物全体の組成検査であるが、今度は多様な組織の変化をリアルタイムで観察できる。これからは、脂質の蓄積がダイエットや年齢に応じてどのように変化するかという重要な問いに答えることができる」とUM医校のHeidi A. Tissenbaum教授は話している。
通常、細胞は分析できるようになる前に処理されなければならないが、これでは生きた細胞を調べることができなくなる。
「生体内イメージングでは、重要な化学物質や分子がどこにあるかが分かるようになる。そのダイナミクスが何であり、相互にどのように交信しているかを知ることができるようになる」とChengは説明している。
研究成果により、コレステロールがリソソーム関連細胞小器官(LRO)、消化酵素を含む細胞内の小胞に蓄積されていることが明らかになった。
「われわれの研究で初めて、シノラブディスエレガンスでは、小腸細胞のリソソーム関連小器官がコレステロール蓄積の場所であることが明らかになった」。
研究は、現在も続いている。