September, 13, 2022, 福岡--九州大学 松清修一准教授他の研究グループは、衝撃波を実験室に生成し、その構造解明に取り組んだ。実験は世界有数の出力を誇る大阪大学レーザ科学研究所の激光XII号レーザを用いて行われ、研究成果は米国の雑誌Physical Review Eに2022年8月26日(金)に掲載された。
これまで、人工衛星による観測が宇宙プラズマ衝撃波の唯一の直接的な実証研究手段だったが、実験では条件を能動的に制御でき、再現性も担保される。これらは衛星観測にはない利点で、新たな研究ツールとして実験が加わることで、この分野の研究が大きく進展する可能性がある。
宇宙線と呼ばれる極めてエネルギーの高い荷電粒子は、宇宙プラズマ衝撃波で作られると考えられている。宇宙線は、人工衛星の故障や宇宙飛行士の被ばくの原因になることが知られているだけでなく、惑星の長期的な気候変動や生命進化にも影響を与える可能性が指摘されている。宇宙線が発見されたのはいまから1世紀以上も前だが、これがどのようなメカニズムで作られるのかを矛盾なく説明する理論は未だに確立されていない。宇宙プラズマ衝撃波のエネルギー変換過程の理解が進めば、宇宙線生成の謎の解明に向けて大きく前進すると期待される。
研究グループ
九州大学 松清修一准教授・森田太智助教・諌山翔伍助教、青山学院大学 山崎了教授・田中周太助教、富山大学 竹崎太智助教、北海道大学 富田健太郎准教授、大阪大学 坂和洋一准教授、蔵満康浩教授、佐野孝好助教他
(詳細は、https://www.kyushu-u.ac.jp)