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植物の光合成からヒントを得たフォトディテクタ設計

September, 8, 2022, Washington--ミシガン大学の研究者は、新しいタイプの高効率フォトディテクタを開発した。これは、植物が太陽光をエネルギーに変換するために利用する光合成複合体からヒントを得た。フォトディテクタは、カメラ、光通信システムおよび多くの他のアプリケーションでフォトンを電気信号に変換するために使用される。

「われわれのデバイスは、光エネルギーの長距離輸送と電流への長距離変換を組み合わせている。このアレンジは、植物に見られるものに類似しており、ソーラセルの電力生成効率を著しく強化する可能性がある。ソーラセルは、太陽光をエネルギーに変換するためにフォトディテクタと類似のデバイスを使用する」とミシガン大学、研究チームリーダー、Stephen Forrestは説明している。

多くの植物に見つかる光合成複合体は、大きな光吸収域からなる。これが励起状態の分子エネルギーを反応中心に供給し、そこでエネルギーが電荷に変換される。このセットアップは非常に効率的であるが、それを真似には、有機材料で長距離エネルギー輸送を達成する必要があり、これの達成が難しいことが分かっている。

この一見不可能に見えるタスクを達成するために研究チームは、ポラリトンとして知られるユニークな準粒子を利用した。Opticaで研究チームは、新しいディテクタについて報告している。有機薄膜でポラリトンを生成するディテクタである。

「ポラリトンは、励起状態の分子とフォトンを結びつけ、それに光のような、物質のような特性を与える、これにより長距離エネルギー輸送と変換が可能になる。このフォトディテクタは、ポラリトンに基づいた実用的なオプトエレクトロニックデバイスの初の実証の一つである」(Forrest)。

植物からヒントを得る
研究チームは、より優れたソーラセルを作る方法を探しながら、何年も前から新しいディテクタを考えていた。「表面に有機膜を持つミラーなど単純な構造で長距離ポラリトン輸送を観察していて、われわれは、ポラリトンを使って光合成類似物を作れるかも知れないと考えた。しかし、そのようなデバイスの作り方を考案するのは極めて難しかった」(Forrest)。

ポラリトンベースのフォトディテクタを作るために研究チームは、有機半導体薄膜でポラリトンを長距離輸送ができる構造を設計する必要があった。チームは、効率的なポラリトンから電荷への変換となるように、シンプルな有機ディテクタを輸送域に組み込む方法も考案しなければならなかった。

「われわれが、効率的なPVセルを作るために以前に設計した構造を転用した。これらの構造で、ポラリトン輸送エネルギーの効率的な取り入れができるのは、やや偶然であった。ポラリトンは、まだ分からないところがあり、これはポラリトンを使う新しい方法であるので、それがうまく機能するかどうかは確信がなかった」(Forrest)。

長距離輸送
研究チームは、特殊フーリエ平面顕微鏡を使ってポラリトン輸送を観察することで新しいデバイスを分析した。ディテクタは珍しい構造であるのでチームは、光学界でよく知られた従来のディテクタのコンテクストで結果を正確に定量化する方法を開発しなければならなかった。

新しいフォトディテクタは、同等のシリコンフォトダイオードよりも効率的に光を電流に変換することを結果は示していた。それは、約0.01 mm2のエリアから光を集め、0.1nmの非常に長い距離で光の電流への変換を達成できる。この距離は、光合成複合のエネルギー転送距離よりも3桁大きい。

これまで、ほとんどのポラリトンは、上下に高反射率ミラーを持つ閉キャビティ内の静的準粒子として観察されていた。新しい研究は、単一ミラーのオープン構造でポラリトンがどのように伝播するかについて重要な洞察を明らかにした。その新しいデバイスにより、入力フォトンが非常に効率的にポラリトンに変換されるかについても初めて計測することができた。

「われわれの研究は、ポラリトンが、興味深い科学であるだけでなく、まだ発見されていないアプリケーションの金鉱でもあることを示している。われわれのようなデバイスは、ポラリトンの基本的な特性を理解し、光と電荷を操作するまだ思いつかない方法を可能にする珍しい、おそらくユニークな、方法を提供する」とForrestは話している。