August, 10, 2022, Washington--デンマーク工科大学の研究チームは、新しいチップベースビームステアリング技術を開発した。これは、小型でコスト効果が優れた、高性能LiDARシステムへの有望なルートになる。
LiDARは、レーザパルスを使ってシーン、物体の3D情報を取得する装置で、アプリケーションの範囲は広い。自動運転、フリースペース光通信、3Dホログラフィ、バイオメディカルセンシングや仮想現実など。
「光ビームステアリングは、LiDARシステムのキーテクノロジーであるが、従来の機械ベースビームステアリングシステムは、大きくて、高価で、振動の影響を受けやすく、スピードに限界があった}とデンマーク工科大学、研究チームリーダー、Hao Huは言う。「チップベース光フェーズドアレイ(OPAs)として知られるデバイスは、非機械的方法で迅速かつ正確に光を操作できるが、これまでのところ、これらのデバイスはビーム品質が悪く、視野は一般に100°以下だった」。
OpticaでHuとYong Liuは、OPAsを悩ましていた問題の多くを解決する新しいチップベースOPAを説明している。そのデバイスが、エイリアシングとして知られる重要な光アーチファクトを除去できることを示し、これにより大きな視野でビームステアリングが達成される。同時に高いビーム品質を維持する。これらは、LiDARシステムを大幅に改善する組合せである。
「われわれの成果は、光ビームステアリング領域で画期的であると考えている。この開発は、ローコストでコンパクトなOPAベースLiDARの基盤となる。これによりLiDARは、ハイレベルのADASなど、様々なアプリケーションで幅広く利用できるようになる。
新しいOPA設計
OPAは、特殊な光パタンを形成する光の位相プロファイルを電気的に制御することでビームを操作する。ほとんどのOPAsは、アレイ導波路を使って多数の光ビームを放出する。次に、パタン形成のために遠視野(エミッタから離れた)に干渉が適用される。しかし、これらの導波路エミッタは一般に、相互に間隔が離れており、遠視野にマルチビームを生成するので、エイリアシングとして知られる光アーチファクトが生ずる。エイリアシングエラーを回避し、180°視野を達成するためにエミッタは、近接している必要があるが、これは隣接エミッタ間の強いクロストークの原因となり、ビーム品質が劣化する。したがって、これまでは、OPA視野とビーム品質の間にトレードオフがあった。
このトレードオフを克服するためにチームは、新しいタイプのOPAを設計した。これは、シングルエミッタ作製のためにスラブグレーティングで従来のOPAsのマルチエミッタを置き換えるものであった。このセットアップは、エイリアシングエラーを除去する。スラブグレーティングの隣接チャネルが、相互に非常に近接できるからである。隣接チャネル間の結合は、スラブグレーティングに害はない、それが近視野(シングルエミッタ近傍)に干渉やビーム形成できるからである。次に光は、所望の角度で遠視野に放出される。研究チームは、背景ノイズ低減、サイトローブなど、他の光アーチファクト低減のために光技術を付加した。
高品質と広い視野
その新しいデバイスをテストするためにチームは、特殊なイメージングシステムを構築して、180°視野で水平方向に沿って平均遠視野光パワーを計測した。チームは、この方向でエイリアシングフリービームステアリングを実証した。これには±70°超のステアリングも含まれる。ただし、いくらかのビーム劣化が見られた。
研究チームは次に、波長を1480nmから1580nmまでチューニングすることで垂直方向でビームステアリングの特性評価を行い、13.5°のチューニング範囲を達成した。最後に、チームは、それを使って、波長と位相シフタの両方をチューニングすることで、-60°, 0°と 60°角度の中央の文字“D”, “T” および“U”の2D像を形成することでOPAの多様性を示した。実験は、ビーム幅2.1°で行われた。研究チームは、より高い分解能と長い距離のビームステアリングを達成するために、これを小さくすることに取り組んでいる。
「われわれのチップベースOPAは、前例のない性能を示しており、180°視野エイリアシングフリー2Dビームステアリング、および低いサイドローブレベルの高品質ビーム品質の同時達成によりOPAsの長年の問題を克服していることを示している」(Hu)。