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偏光エンコード回折ネットワーク利用全光コンピュテーション

July, 5, 2022, Los Angels--UCLAの研究者によると、大規模線形変換、あるいは行列計算の実行は、現代の情報処理システムでは極めて重要な役割を担っている。デジタルコンピュータシステムは、ディープニューラルネットワーク(DNN)トレーニングや推論など、複雑な計算タスクを実行するために1秒に数十億の行列計算を完了する必要がある。結果として、線形変換計算のスループットは、基本的なコンピューティングシステムの性能と能力に直接影響する。これら線形変換は、コンピュータのデジタルプロセッサを使って計算される。処理されるデータサイズが大きくなればなるほど、これらの線形変換はボトルネックに直面する。
 ここが、オールオプティカルコンピューティング法が潜在的に、その並列性とスピードで救済手段を提供するところである。

Light: Science and Applicationsに発表された最近の研究でUCLAの研究者は、光の回折のみを使い、偏光エンコード光プロセッサが、複数の線形変換の高速、低パワー計算を可能にすることを実証した。この光プロセッサは、一連の構造化回折面と簡素な偏光アレイを利用する。これは、入力光を合同操作し、出力プレーンで、入力フィールドのいかなる所望の複素数値の線形変換の結果も生成できる。このオールオプティカル(全光)回折プロセッサの電子プロセッサに対する主要な利点は、光を照射することを除けば、コンピューティングパワーを全く必要としないこと、並列計算を可能にする大面積ウエファを作製することで大規模入力データを扱えるまで拡張できることである。加えて、全ての計算は、わずかな回折量により光伝搬速度で完了するので、複素数値の線形変換の実行を著しく高速にする。

この研究は、UCLA電気・コンピュータ工学部とカリフォルニアナノシステム研究所(CNSI)のAydogan Ozcan教授主導で行われた。この新しい光アーキテクチャは、偏光エンコーディングメカニズムを導入する、これにより単一の回折プロセッサが、情報の偏光多重により4つまでの異なる線形変換を行う。構造化面が回折量に埋め込まれた偏光素子との交通を可能にすることで、単一の回折光プロセッサは、複数の個別計算チャネルを暗黙裏に形成できる。その各々が、入力と出力の偏光状態の特殊な組合せを使って評価できる。ディープラーニングなどのデータ駆動アプローチでトレーニングされた後、その回折プロセッサは、一群の複素数線形変換をオールオプティカルコンピューティングできる。これを様々な偏光の組合せの多様な計算タスクをするように割り当てることができる。例えば、画像分類、区分、暗号化、フィルタリング操作など。この独自の設計により単一の回折光プロセッサが多様な範囲のタスクを同時に担い、多機能光情報処理システムを強化する。

UCLA研究チームによると、その偏光エンコード回折光プロセッサは、設計の多様性により、電磁スペクトラムの様々な部分で動作可能である。それはインプットシーンの位相と振幅情報を直接処理できるので、この設計は特にビジュアルコンピューティングに適しており、マシンビジョンシステムのインテリジェントパッシブ光フロントエンドの構築に使える。さらに、サンプルやシーンの入力偏光情報を処理するこのシステム固有の能力により偏光認識光イメージングやセンシングにおけるその応用が可能になる。これは、体液の複屈折結晶検出など、あるバイオメディカルアプリケーションに変形できる。
(詳細は、https://cnsi.ucla.edu)