June, 29, 2022, Dallas--蘇州大学の研究者は、通常の照明で、特別な読取りデバイスなしで詳細な3D画像を見ることができる新しい超薄型フィルムを開発した。画像は、フィルム上に浮いているように見え、滑らかな視差を示す。つまり、あらゆる角度からはっきりと見ることができる。さらなる開発により、その新しいガラスフリーアプローチは、視覚的セキュリティ機能に使える、あるいはVR/ARデバイスに組み込むことが可能である。
「われわれの超薄型、集積反射イメージングフィルムは、広い角度から見ることができ、また物理的な深さがあるように見える画像を生成する」と中国、蘇州大学(Soochow University)の研究チームリーダー、Su Shenは説明している。「それは、どんな表面にでも、タグやスティッカーとして簡単に貼りつけることができる、あるいは透明物質に組み込むこともできる。紙幣、IDカードのセキュリティ機能としての利用に適している」。
Optics Lettersで研究チームは、その新しいフィルムを説明している。わずか25µm厚のフィルムは、家庭用のプラスチックラップの2倍程度の厚さである。それは、ライトフィールドイメージングとして知られる技術を利用し、3D画像を作るシーン内の全ての光線の方向と強度を捉える。
「自然な視聴条件で、大きな視野、スムースな視差、広い合焦可能な深さ範囲を備えたグラスフリー3Dイメージングの達成は、光学で最も素晴らしい挑戦の1つである。われわれのアプローチは、鮮明な3D画像を達成する革新的な方法を提供する。これは、観察していて不快感や疲れを起こさず、裸眼で見やすく、美的に楽しい」とShenは話している。
高密度記録
理想的な3D視野エクスペリアンス実現のための様々な研究が行われていたが、限られた視野角、低い光効率などの欠点に悩まされる傾向がある。これらの欠点を克服するために研究チームは、反射ライトフィールドイメージフィルムと新しいアルゴリズムを開発した。ライトフィールドが高密度で記録されるように位置と角度の両方の情報を可能にする
研究チームは、経済的なセルフリリースナノインプリンティングリソグラフィアプローチを開発した。これは、ローコスト材料を使いながら、高い光学性能に必要な精度を達成できる。フィルムは、反射集束素子アレイでパタン化されている。片側が微小なカメラのように機能し、反対側が画像をエンコードして表示するようにマイクパタンアレイを含んでいる。
「われわれが使った強力なマイクロファブリケーションアプローチによりわれわれは、極めてコンパクトな反射集束を作ることができた。サイズはわずか数10µm。これにより光の輝度は密集し、現実的な3D効果が生まれる」(Shen)。
現実的な3D画像
研究チームは、ほぼどんな視点からもはっきり見ることができるキューブダイの3D画像を作るためにそれを利用することで、その新しいフィルムを実証した。結果の画像は、8×8㎜、画像深度は、自然光条件で0.1~8.0㎜であった。チームは、フローティングロゴを持つイメージングフィルムを設計、製造した。これは、例えば、モバイルフォーン背面の装飾エレメントとして使える。
研究者によると、研究チームのアルゴリズムとナノパタニング技術は他のアプリケーションに拡張可能である。例えば、フィルムの代わりに透明なディスプレイスクリーンにナノパタンを作る。研究チームは、製造プロセスの商用化に向けて取り組んでいる。これには、両面ナノインプリンティング装置を開発する。これにより、フィルムの各サイドのマイクロパタン間に求められる精密アライメントが簡単に達成できる。